病院・クリニックには毎日多くの患者・来院者・スタッフが出入りします。受付でのトラブル・医薬品や医療機器の盗難・不審者の侵入・夜間の無人時間帯を狙った犯罪など、医療施設が抱えるリスクは多岐にわたります。こうしたトラブルへの対応が遅れると、患者・スタッフへの被害だけでなく施設の信頼失墜にもつながります。
本記事では、病院・クリニックにおけるよくあるトラブルの実態・防犯カメラを設置するメリット・おすすめの機能・設置場所・設置時の注意点まで詳しく解説します。
1. 病院・クリニックでよくあるトラブルの実態
病院荒らし・夜間の侵入盗
警察庁が公表している「刑法犯に関する統計資料」によると、令和4年の病院荒らしの認知件数は545件にのぼり、令和3年と比べて250件増加しています。夜間・休日の無人時間帯を狙った侵入盗が多く、金品・医薬品・医療機器の窃取、カルテ等の情報盗難、放火といった事案が報告されています。
参考:警察庁「刑法犯に関する統計資料」 https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jousei.html
医薬品・医療機器の盗難
特に深刻なのが医薬品・医療機器の盗難です。注射器などの医療機器を窃取して闇ルートに流す行為や、向精神薬など麻薬指定を受けた薬を盗難するケースが実際に発生しています。外部からの犯行は難しい半面、薬剤師・看護師・委託スタッフなど施設内の関係者であれば比較的容易に持ち出せてしまうため、内部不正対策としての防犯カメラ設置が特に重要です。
受付・診察でのトラブル
保険証の受け渡しミス・診察内容をめぐる患者とのトラブル・クレーム対応など、受付周辺では日常的に様々なトラブルが発生します。映像や音声の記録がなければ「言った・言わない」の水掛け論になりやすく、施設側が不当な要求を受け入れざるを得ない状況になることがあります。
患者・来院者間のトラブル
待合室では患者同士の口論・転倒事故・落とし物トラブルなどが起きることがあります。防犯カメラがあれば状況を客観的に記録でき、事実確認と迅速な対応が可能になります。
院内での盗難被害
患者の個室・ロッカー周辺での金品盗難、スタッフルームでの私物紛失なども医療施設では報告される事案のひとつです。映像記録があれば被害発生の経緯を把握でき、犯人特定につながるケースもあります。
2. 防犯カメラを設置するメリット
① 犯罪抑止効果
防犯カメラが設置されていることを掲示・告知することで、侵入者・内部不正を試みようとする者への「見られている」という心理的プレッシャーとなり、犯行を未然に防ぐ効果があります。特に医薬品・医療機器の盗難は内部関係者による犯行が多いため、カメラの存在自体が大きな抑止力を発揮します。
② 証拠映像の確保と早期解決
実際にトラブルや被害が発生した際、録画映像を証拠として警察に提出することができます。「いつ・誰が・どこで・何をしたか」を客観的に記録した映像は、事件の早期解決に大きく貢献します。受付でのトラブル・医薬品盗難・不審者侵入のいずれにおいても、映像記録の有無が解決スピードを大きく左右します。
③ 受付・診察トラブルの事実確認
音声マイク内蔵のカメラを受付に設置することで、保険証の受け渡し・診察内容・支払いに関するやり取りを録音・録画しておくことができます。不当なクレームに対して「映像・音声記録があります」と伝えるだけで解決につながるケースも多く、スタッフを守る意味でも重要な機能です。
④ 夜間・休日の無人時間帯の監視
閉院後の夜間や休日は施設が無人になるため、病院荒らしのリスクが高まります。夜間対応カメラとAI動体検知機能を組み合わせることで、不審者が侵入した瞬間にスマートフォンへアラートを送信でき、迅速な通報・対応が可能になります。
⑤ スタッフ・患者の安全確保
万が一院内で暴力行為・ハラスメントが発生した場合にも、録画映像が証拠として機能します。「カメラが見ている」という環境は、スタッフへの暴言や暴力行為の抑止にもつながります。
3. 病院・クリニックでおすすめの防犯カメラ機能
録画機能(NVR・SDカード)
医薬品・医療機器の盗難やトラブルが発生した際に証拠映像として活用するために、録画機能を持った防犯カメラシステムは必須です。NVR(ネットワークビデオレコーダー)にHDDで録画する方式は、長期間の映像を安定して保存でき、閲覧・検索も容易です。SDカードのみの運用は容量不足や抜き取りリスクがあるため、施設用途では推奨しません。
音声マイク内蔵
受付・診察室の入口周辺には、音声マイク内蔵カメラが特に有効です。映像とともに音声が記録されることで、受付でのやり取り・診察の説明内容・クレーム時の会話を後から確認することができます。保険証の受け渡しや支払いに関するトラブル対応において、音声記録は強力な証拠になります。
赤外線暗視機能
夜間は院内の照明が消灯されるため、赤外線暗視機能付きのカメラが必要です。赤外線LEDが照射範囲を照らし、暗闇でもモノクロ映像で鮮明に撮影できます。夜間・休日の無人時間帯の監視には欠かせない機能です。
➡ 赤外線暗視機能についての詳細はこちら:防犯カメラの赤外線暗視機能とは?種類や機能について解説します
フルカラーナイトビジョン(ホワイトLED搭載)
赤外線暗視カメラがモノクロ映像で記録するのに対し、ホワイトLEDを搭載したフルカラーカメラは夜間でもカラー映像で撮影できます。人物の服装・顔の特徴・車両の色など、犯人特定に重要な情報をカラーで残せるため、証拠映像としての価値が大幅に向上します。
➡ 夜間撮影についての詳細はこちら:夜間撮影できる防犯カメラのメリットについて
高解像度(5MP以上)
顔や手元の動作・薬剤棚の状況まで鮮明に記録するには、5MP(500万画素)以上の高解像度カメラが推奨です。解像度が低いと顔の識別が難しく、証拠映像としての信頼性が下がります。広い待合室や廊下を広角で撮影しながら人物の特定もできる高解像度モデルを選んでください。
AI動体検知・アラート通知
夜間の無人時間帯に不審者が侵入した場合、AI動体検知機能が人体を検知してスマートフォンにプッシュ通知を送信します。一般的な動体検知では風・照明の変化でも誤検知が起きやすいですが、AIによる人体・車両の識別検知は誤検知を大幅に減らし、必要なアラートだけを受け取れます。
➡ 動体検知機能の詳細はこちら:防犯カメラの動体検知機能とは、メリットと使い方について
逆光補正機能(WDR)
日中の明るい時間帯、窓や出入口に向けてカメラを設置すると逆光で顔が黒くつぶれてしまうことがあります。WDR(ワイドダイナミックレンジ)対応カメラは明暗差の大きな環境でも顔・人物を鮮明に映し出す機能で、病院の正面入口・受付カウンターなど逆光が生じやすい場所に特に有効です。
4. 設置場所別・具体的な設置ポイント
正面入口・自動ドア周辺
来院者・不審者の全員が通過する最重要ポイントです。顔を正面から捉えられる角度でカメラを設置し、逆光補正(WDR)付きの高解像度モデルを選びましょう。夜間閉院後も記録できるカラーナイトビジョン対応が推奨です。
推奨: 5MP以上・WDR・カラーナイトビジョン・バレット型またはドーム型(高さ3〜4m)
受付カウンター
スタッフと患者のやり取りを記録する重要エリアです。音声マイク内蔵カメラを設置し、カウンター全体と来院者の顔を映せる角度で配置します。威圧感の少ない小型ドーム型が受付の雰囲気に合います。
推奨: 5MP以上・音声マイク内蔵・広角ドーム型・WDR対応
待合室
患者同士のトラブル・転倒事故・落とし物等の対応に活用します。天井中央に広角カメラを設置し、待合室全体が映るよう死角をなくすことが重要です。
推奨: 5MP以上・広角(110°以上)・天井設置ドーム型
薬剤室・医薬品保管エリア
内部不正・盗難対策の最重要エリアです。入口付近と棚周辺の両方にカメラを設置し、「誰が・いつ・何を取り出したか」を記録します。映像へのアクセス権限は管理責任者に限定してください。
推奨: 5MP以上・広角ドーム型・常時録画・アクセス権限管理
廊下・エレベーター前
患者・スタッフの動線を記録し、不審者の動きを追跡できます。特に医薬品保管室・スタッフルームへの廊下は重点的にカバーしてください。
推奨: 5MP以上・ドーム型・夜間対応
駐車場・外周
夜間の不審者侵入・車上荒らし・患者の転倒事故等に対応します。広い駐車場は広角カメラまたはPTZ(パン・チルト・ズーム)カメラを組み合わせ、出入口には車両ナンバーを識別できる高解像度モデルを設置します。
推奨: IP66以上・赤外線LED・AI動体検知・バレット型
5. 防犯カメラを設置する際の注意点
プライバシーへの配慮と掲示
防犯カメラの録画映像は個人情報に該当するため、プライバシーへの配慮が必要です。患者・来院者が見やすい場所に「防犯カメラ作動中」「録画映像は防犯目的のみに使用します」といった掲示を設置してください。また、録画データをインターネット上に公開したり、防犯目的以外で使用することは個人情報保護法に抵触する可能性がありますので、運用ルールを明確に定めてください。
トイレ・更衣室・診察室内などへの設置は法令上禁止されています。 患者のプライバシーが特に保護される医療施設においては、設置エリアの選定に特に慎重な配慮が必要です。
録画機・カメラの物理的な保護
犯行を行う際に防犯カメラの録画機(NVR)を一緒に持ち出されたり、カメラを破壊されるケースも報告されています。以下の対策を講じてください。
- 録画機(NVR)は管理者以外が入れない鍵のかかる場所に設置する
- 映像をクラウドにバックアップ保存する(録画機が破壊・盗難されても映像が残る)
- カメラ本体を手が届きにくい高い位置(3〜4m)に設置する
- カメラカバーやハウジングケースで物理的な破壊から保護する
パスワード・アクセス管理の徹底
防犯カメラ・NVRのアクセスパスワードは管理責任者が厳重に管理し、定期的に変更してください。デフォルトのパスワードのまま使用すると、外部からの不正アクセスリスクが高まります。映像の閲覧権限は必要な担当者のみに限定し、「誰がいつ映像を確認したか」のログ管理も推奨します。
定期的なメンテナンス
防犯カメラは精密機器のため、定期的なメンテナンスが欠かせません。カメラレンズの汚れ・HDDの残量確認・録画が正常に継続されているかのチェックを月1回程度の頻度で行いましょう。「いざという時に録画できていなかった」という事態を防ぐためにも、日常的な動作確認を設備点検のスケジュールに組み込んでください。
6. まとめ
病院・クリニックに防犯カメラを設置することは、院内の犯罪抑止・証拠映像の確保・受付トラブルへの対応・スタッフの安全確保・夜間監視まで、施設運営のリスク管理において非常に重要な役割を果たします。
特に医薬品・医療機器の盗難は内部関係者による犯行が多く、防犯カメラの存在が「見られている」という意識を生み出すことで大きな抑止効果を発揮します。設置の際はプライバシーへの配慮と適切な運用ルールの整備を忘れず、施設の規模・用途に合わせた最適なシステムを選んでください。
何かトラブルが起きてから導入を検討するお問い合わせを多くいただきますが、被害が発生する前に防犯カメラを設置することが最も重要です。ワイズセキュリティでは病院・クリニックの環境に合わせたカメラ選定・設置のご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
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参考資料
※本記事の情報は2025年6月時点のものです。
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