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一人じゃない。「複数犯」の分業構造と、そこから見えてくる防犯の新常識

「泥棒=一人で動く」というイメージを持っている方は多いかもしれません。確かにかつての空き巣の多くは単独犯でした。しかし近年、住宅を狙う犯罪の構造は大きく変わりつつあります。

複数人が役割を分担しながら組織的に動く犯行が増えており、その背景には闇バイトを使った「使い捨て型」のグループ犯罪があります。今回は、複数犯がどのように動いているのかという分業の構造と、そこから見えてくる防犯の考え方を解説します。

複数犯の基本構造——「指示役・見張り役・実行役」の分離

組織的な侵入犯罪には、大きく3つの役割があります。

まず「指示役」です。犯行全体を設計し、標的の選定から実行のタイミングまでを管理します。近年の広域強盗事件では、海外から通信アプリで指示を出していたケースも報告されており、指示役自身は現場に一切現れないという構造になっていました。

次に「見張り役」です。犯行中に周囲の状況を監視し、警察やパトロールの動き、近隣住民の動向などを実行役に伝えます。携帯電話を持ちながら周辺を歩いたり、車内から張り込んだりするのが典型的な行動です。一見すると普通の通行人や駐車中の車にしか見えないため、発見が難しいのが特徴です。

そして「実行役」が実際に家に侵入し、金品を奪います。最近の闇バイト型犯罪では、実行役が複数人になることも多く、それぞれが窓の破壊、住人の拘束、金品の捜索と持ち出しを分担するケースも確認されています。

「素人の集まり」が凶悪化する理由

かつての組織的な侵入犯罪は、経験を積んだ犯罪者が計画的に動くケースが多かった。これに対して、現代の闇バイト型犯罪の実行役の多くは、犯罪経験がない一般の若者です。

これが、むしろ危険性を高めています。プロの空き巣であれば、住人と鉢合わせたときにリスクを嫌って逃走する傾向がありますが、素人が集まったグループは状況への対処が想定外の方向に進みやすい。パニックになった実行役が暴力に発展するケースが、実際に複数起きています。

引用元:https://www.softbank.jp/sbnews/entry/20250116_01(ソフトバンクニュース「リーゼント刑事に聞く、闇バイト強盗から身を守るための行動と自宅の防犯対策」)

また、指示役の立場からすると実行役は「使い捨て」であり、捕まっても指示役まで捜査が届きにくい構造になっています。実行役が逮捕されてもグループが解体されるわけではなく、別の実行役を補充して犯行を続けるというサイクルが成立してしまっています。

下見も「分業」されている

ターゲットの選定や下見の段階でも、分業が機能しています。

犯罪グループはSNSや闇リストと呼ばれる個人情報の名簿を使い、資産のありそうな家庭の情報を事前に収集します。そのうえで、リフォーム業者や水道の点検業者を装って実際に家を訪問し、間取りや現金の保管場所、同居家族の有無などを確認するケースも報告されています。

引用元:https://www.alsok.co.jp/person/recommend/2237/(ALSOK「闇名簿(闇リスト)とは?特殊詐欺や強盗被害に遭わないために出来ること」)

この段階では「下見担当」が来ていることになりますが、外見は完全に業者です。予約なしの訪問業者に対して、安易にドアを開けたり家の内部を見せたりすることへの警戒が必要なのはこのためです。

複数犯の「見張り役」を意識した防犯を

単独犯を想定した防犯と、複数犯を想定した防犯では、考えるべきポイントが少し変わってきます。

見張り役がいるということは、犯行の直前まで周辺が監視されているということです。住人が外出するタイミング、帰宅時刻、周囲に人がいる・いない、パトロールの有無——こうした情報が実行役に伝わったうえで犯行が始まります。

この構造への対抗策として有効なのが、玄関や門柱周辺だけでなく、家の前の道路や駐車スペースまで記録できる広角・広域の防犯カメラです。見張り役の存在が映像に残ることは、犯行グループ全体への抑止につながります。また、近隣住民との情報共有も重要です。「最近、同じ車が長時間駐まっている」「知らない人が何度も歩いているのを見かけた」といった気づきを共有できる関係があれば、見張りの段階で察知できる可能性が上がります。

侵入に「時間をかけさせる」ことが今も最大の防衛線

闇バイト型の複数犯は、計画性が緻密な一方で実行役が素人であるため、予定外の手間や障害に弱いという特徴があります。

窓ガラスに防犯フィルムを貼る、補助錠を設置してドアや窓の解錠に時間をかけさせる——こうした「時間を稼ぐ」対策は、単独犯に対してと同様に複数犯に対しても有効です。侵入に手間取ることで周囲に気づかれるリスクが高まり、グループ全体が撤退を判断しやすくなります。

まとめ:「個人犯罪」から「組織犯罪」へのシフトを知っておく

住宅を狙う犯罪が、かつての単独の空き巣から組織的な複数犯へと変化してきている現実があります。指示役・見張り役・実行役が分業し、下見から逃走まで計算されて動く構造は、一般家庭にとっても他人事ではありません。

とはいえ、基本的な対策の方向性は変わりません。「入りにくい家にする」「見られている状況をつくる」「近隣とのつながりを持つ」。この3点に加えて、不審な業者の訪問やSNSでの個人情報の扱いにも意識を向けることが、現代の防犯では重要になってきています。

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