「町内で防犯カメラを設置したいけれど、費用が出せない」——自治会や町内会の役員の方から、こうした相談を受けることがあります。
たしかに、街頭に防犯カメラを設置するとなると、カメラ本体だけでなくポールの建設や配線工事も必要になり、金額は決して小さくありません。地域の会費でまかなうには負担が大きい、という判断になるのも当然です。
ただ、自治体によっては、こうした地域団体の設置を支援する補助制度が用意されています。福岡市もそのひとつで、令和8年度は補助率75%、自立柱を建てる場合は1台あたり25万円を上限とする補助が実施されています。しかも令和8年度からは、電気料金などの維持管理費に対する補助も新設されました。
この記事では、福岡市の街頭防犯カメラ補助金について、対象・金額・申請の流れ・注意点を整理します。他の自治体でも似た制度があることが多いので、お住まいの地域で調べる際の参考にもなるはずです。
なお、制度の内容や受付期間は変更されることがあります。実際に申請される際は、必ず福岡市の公式ページか担当窓口で最新の情報をご確認ください(本記事は2026年8月時点の情報です)。
そもそもどんな制度なの?
福岡市の街頭防犯カメラ補助金は、平成24年度から続いている制度です。これまでに2,500台を超える防犯カメラの設置が、この制度によって支援されてきました。
令和8年度の制度は、大きく2種類に分かれています。
ひとつは設置費補助金で、カメラや録画装置の購入費、設置工事費などを対象とするものです。もうひとつが令和8年度から新設された維持管理費補助金で、設置後の電気料金などを対象としています。
設置費補助金は第二次受付が始まっており、締切は11月30日(月曜日)です。ただし先着順のため、予算に達した時点で受付が終了する可能性があります。
誰が申請できるの?
対象となるのは、自治協議会・自治会・町内会といった地域団体です。
個人や一般の事業者は対象外となります。「自宅の防犯カメラに使えないか」というお問い合わせをいただくことがありますが、この制度はあくまで地域が管理する街頭防犯カメラを支援するものです。
いくら補助されるの?
設置費補助金の補助率は、補助対象経費の75%です(1,000円未満は切り捨て)。ただし上限額が設定されており、「対象経費の75%」と「上限額」を比べて、低い方の金額が補助されます。
上限額は、設置の方法によって変わります。
自立柱(ポール)を建てて設置する場合は、1台につき25万円が上限です。録画装置を内蔵したカメラ、または録画装置なしのカメラと録画装置をセットで設置する場合が該当します。
既存のポールや壁に設置する場合は、1台につき20万円が上限になります。ただし、同じ録画装置に複数のカメラをつなぐ場合、2台目以降は1台につき10万円までとなります。また、録画装置のないカメラだけ、あるいは録画装置だけを設置する場合も、それぞれ1台につき10万円が上限です。
申請できる台数は、1団体あたり1年度で4台までです。自立柱を建てて4台設置すれば、最大で100万円の補助を受けられる計算になります。ただし1年度4台という制限があるため、それ以上の設置を計画している場合は、複数年度に分けて申請することになります。
申請にはどんな書類が必要?
設置費補助金の申請では、交付申請書に加えて、いくつかの添付書類が必要になります。
3業者以上からの見積書が、最も準備に時間のかかる書類です。3社以上から見積もりを取得する必要があります。福岡市のホームページでは施工実績のある業者の一覧も公開されているので、業者選びの参考にできます。
設置場所と撮影範囲を明記した図面も必要です。どこにカメラを付け、どの範囲を映すのかを示すもので、プライバシーへの配慮という観点からも重要な書類になります。
カメラや録画装置のカタログ等は、購入予定の製品の仕様がわかる資料を添付します。
設置場所の権利者からの許可を証する書類は、私有地以外に設置する場合に必要です。電柱や街路灯、他人の建物などに取り付ける場合が該当します。この書類は内示後の提出でよいとされています。
このほか、団体規約と役員名簿も必要です。
市道にポールを建てる場合は、道路占用許可の申請も別途必要になります。こちらは道路下水道局の所管となり、手続きに時間がかかるため、早めの確認をおすすめします。
維持管理費の補助はどんな内容?
令和8年度から始まった維持管理費補助金は、防犯カメラの電気料金などを対象とするものです。
1台につき年間3,000円が補助されます。電力会社と「定額電灯(小型機器)」の契約種別で契約しているものが対象です。
注目すべきは、台数の上限がないという点です。設置費補助金には「1団体4台まで」という制限がありますが、維持管理費の方にはそれがありません。すでに多くのカメラを管理している団体にとっては、継続的な負担軽減になります。
申請期間は5月1日から12月28日(月曜日)までです。必要書類は、電気料金の請求書または領収書の写し、設置場所と撮影範囲の図面、カメラの現況写真、団体規約と役員名簿などです。
なお、福岡市の設置補助金を使って設置したカメラであれば、図面と現況写真は省略できます。
申請書はどこに出すの?
提出先は、市役所7階の市民局防犯・交通安全課、または各区役所の総務課(西区は防災・安全安心室)です。
すべての書類は電子メールでも提出できます。窓口へ持参する方法と選べるので、都合のよい方を利用してください。書類が揃っているか不安な場合は、窓口で相談しながら進める方が確実です。
引用元:https://www.city.fukuoka.lg.jp/shimin/seikatsuanzen/life/fukuokashigaitoubouhannkamerasettihojyokinseido.html(福岡市「令和8年度福岡市街頭防犯カメラ補助金制度について」)
つまずきやすいポイントは?
実際に申請を進めるうえで、注意しておきたい点がいくつかあります。
**先に工事を始めてしまうと対象外になります。**これは補助金全般に共通するルールですが、交付決定を受ける前に発注や工事を始めると、補助を受けられなくなる可能性があります。福岡市の場合、事業着手と補助金交付は概ね9月以降とされています。「まず設置してから申請する」という進め方はできません。必ず申請、交付決定、そして工事という順序を守ってください。
**見積もりの取得には時間がかかります。**3社以上から見積もりを取るには、問い合わせ、現地調査、見積書の作成という工程が必要です。少なくとも数週間の余裕を見ておいた方がよいでしょう。締切が近づくほど業者も混み合いますので、早めに動くことをおすすめします。
**申請代行の費用は補助対象外です。**業者に書類作成や申請の代行を依頼する場合、その費用は自己負担になります。依頼するかどうかは、この点を理解したうえで判断してください。
**プライバシーへの配慮が求められます。**街頭に設置する以上、通行人や近隣住宅が映り込むことは避けられません。個人の住宅の窓や玄関に向かないよう撮影範囲を調整すること、設置を示す表示板を掲げること、録画映像の管理方法を団体内で定めておくこと——こうした対応が必要です。表示板の設置費用も補助対象に含まれています。
**先着順で予算にも限りがあります。**希望した台数分の補助が受けられない場合もあるとされています。設置を検討している団体は、早めに動くことが重要です。
近隣への配慮の考え方については、こちらの記事も参考になります。 → 防犯カメラを設置する前に、ご近所へ何を伝えるべきか|トラブルを避ける進め方
設置場所はどう決めればいい?
補助金の要件を満たすことも大切ですが、それ以上に重要なのが「どこに設置するか」です。せっかく設置しても、肝心な場所が映っていなければ意味がありません。
福岡市では、効果的な設置場所について警察署や専門家に相談できるとしています。市内の各警察署の生活安全課で相談を受け付けているほか、福岡県には「安全・安心まちづくりアドバイザー派遣事業」という制度もあり、防犯の専門家を地域団体に派遣してもらうことができます。
地域の犯罪発生状況を把握している警察の視点は、設置場所の検討において非常に有用です。申請前の段階で一度相談してみることをおすすめします。
設置角度や高さの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 防犯カメラを設置したのに「証拠にならなかった」——よくある理由と対策を解説
街頭防犯カメラにはどんな効果があるの?
福岡市は、街頭防犯カメラの効果として3つの点を挙げています。
ひとつは犯罪の予防です。カメラの存在に気づかせ、撮影されていることを認識させることで、犯行を思いとどまらせる効果があるとされています。実際に「防犯カメラがあったから、その場所での犯行をやめた」という犯人の証言もあるそうです。
もうひとつは安心感の醸成です。地域の住民や訪れた方に安心感を与え、犯罪への不安を軽減する効果があります。福岡市が実施したアンケートでは、約9割の方が防犯カメラを必要と回答したとのことです。
そして事件の解決です。連続して発生していた事件で、現場を撮影していた映像が決め手となり検挙に至ったケースが報告されています。
地域に点在するカメラが事件解決につながる仕組みについては、こちらの記事でも触れています。 → あなたの家のカメラが事件を解決するかもしれない|リレー捜査と地域防犯の話
問い合わせ先はどこ?
制度の詳細や申請方法についての問い合わせ先は、以下のとおりです。
福岡市 市民局 生活安全部 防犯・交通安全課 住所:福岡市中央区天神1丁目8番1号 電話番号:092-711-4061
申請書の提出窓口である各区役所総務課(西区は防災・安全安心室)でも相談を受け付けています。
まとめ
福岡市の街頭防犯カメラ補助金は、補助率75%、自立柱を建てる場合は1台25万円が上限という手厚い制度です。令和8年度からは維持管理費の補助も加わり、設置後のランニングコストの負担も軽減されるようになりました。
ただし、第二次受付は先着順です。締切の11月30日まで時間があるように見えても、3社以上の見積もり取得、書類の準備、市道に建柱する場合の道路占用許可——これらを考えると、決して余裕はありません。
そして、補助金の要件を満たすことと、防犯上の効果を得ることは別の話です。どこに、どの角度で設置すれば実際に役立つのか。この点は、警察や専門家の意見も聞きながら慎重に検討することをおすすめします。
お住まいの自治体にも同様の制度があるかもしれません。「補助金 防犯カメラ ○○市」といったキーワードで調べてみると、思わぬ支援が見つかることがあります。
ワイズセキュリティでは、防犯カメラのオンラインストアを開設しています。最新スペックの防犯カメラを順次ラインナップしており、全製品1年保証付きです。設置場所や用途に合ったカメラ選びについてのご相談も承っていますので、お気軽にどうぞ。
防犯カメラの映像がぼやける、映らない時の対処法
防犯カメラをDIYで設置する方法と場所などの注意点
防犯カメラでYouTubeライブ配信する方法
警察に防犯カメラ映像を見せるのは義務なのか?
防犯カメラはハッキングされる!?その手口と対処法を解説