窓には、さまざまな形状があります。
引き違い窓、掃き出し窓、上げ下げ窓、すべり出し窓、ルーバー窓、FIX窓——それぞれ開き方が異なり、防犯上の弱点も変わります。
この記事では、窓の種類ごとの特徴と対策を整理します。自宅にどんな窓があるか、確認しながら読んでいただければと思います。
引き違い窓
日本の住宅で最も一般的な形状です。
特徴——2枚のガラスを左右にスライドさせて開閉します。
クレセント錠——中央のレバー状の金具で固定します。これは本来、気密性を保つための部品であり、防犯用の錠前ではありません。
弱点——クレセント錠の周辺のガラスを割り、手を入れて解錠する手口が典型的です。数秒で開けられます。
対策——補助錠の追加が最も有効です。窓枠の上下に取り付けることで、クレセント錠を解除されても開けられなくなります。
防犯フィルム——ガラスを割られにくくします。部分的ではなく、全面に貼ることが重要です。
換気ロック——数センチだけ開けた状態で固定できる補助錠があります。夏場の換気に便利です。
掃き出し窓
床まである大きな窓です。
特徴——ベランダや庭への出入りに使います。基本的には引き違い窓と同じ構造です。
弱点——開口部が大きく、人が容易に通れます。侵入されればそのまま室内に入れる状態です。
足元まである——身をかがめずに入れるため、侵入しやすい形状です。
外からのアクセス——庭やベランダに面しているため、道路から見えないことが多くあります。
対策——補助錠を複数設置します。上下に加えて、中央付近にも追加する方法があります。
シャッター・雨戸——設置されているなら、必ず施錠してください。閉めているだけでは、外から開けられます。
防犯合わせガラス——費用はかかりますが、根本的な対策になります。
ベランダの防犯については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → ベランダ・バルコニーの防犯|「2階だから安全」という思い込みを見直す
上げ下げ窓
上下にスライドする形状です。
特徴——洋風住宅で使われることが多い窓です。
開口部が限定される——上半分または下半分しか開かない構造であれば、通り抜けは困難です。
両方が動くタイプ——上下どちらも開く製品では、開口部が大きくなります。
錠前の位置——中央に設置されることが一般的です。
対策——補助錠の追加、防犯フィルム——基本は他の窓と同じです。
ストッパー——開く幅を制限する部品があります。換気しながら、侵入を防げます。
すべり出し窓
外側に押し出して開ける形状です。
特徴——縦すべり出し、横すべり出し——回転軸の向きで分かれます。
開口部が狭い——構造上、大きく開かないことが多く、人の通り抜けは困難です。
防犯上は有利——開口部の制限が、そのまま防犯性能につながります。
ハンドルの位置——室内側にあるため、外から操作しにくい構造です。
ただし油断は禁物——ガラスを割られれば、そこから手を入れて操作される可能性はあります。
小窓に採用されることが多い——浴室やトイレなど、換気目的の窓に使われます。
ルーバー窓(ジャロジー窓)
複数のガラス板を角度調整する形状です。
特徴——細長いガラスが並んでおり、ハンドルで角度を変えて開閉します。
防犯上の弱点が大きい——これが最も注意すべき点です。
ガラス板が外せる——固定が甘い製品では、外側からガラスを1枚ずつ外せることがあります。割らずに開口部を作れてしまいます。
音が出にくい——破壊を伴わないため、静かに作業できます。
浴室やトイレに多い——換気目的で設置されていることが多く、人目につきにくい場所にあります。
対策——面格子の設置が有効です。あるいは、窓そのものを別の形状に交換するという選択もあります。
接着による固定——ガラス板を外せないようにする方法もありますが、換気機能が損なわれます。
優先度が高い——ルーバー窓がある場合、対策の優先順位は高いと考えてください。
FIX窓(はめ殺し窓)
開かない窓です。
特徴——採光のみを目的とし、開閉機能がありません。
防犯上は有利——開く機構がないため、解錠される心配がありません。
ただしガラスは割れる——破壊による侵入は可能です。
対策——防犯フィルム、あるいは防犯合わせガラス——ガラス自体を強化します。
大型のFIX窓——リビングなどに設置される大きなものは、割られれば通り抜けられます。
小型であれば——人が通れないサイズであれば、リスクは低くなります。
天窓・トップライト
屋根に設置される窓です。
特徴——採光目的で、屋根面に取り付けられます。
到達が難しい——屋根に登る必要があるため、侵入経路としては一般的ではありません。
ただし可能性はある——隣接する建物から移動できる場合、屋根へのアクセスは容易になります。
開閉式の場合——施錠を確認してください。
対策の優先度——通常は低いのですが、建物の状況によっては検討が必要です。
小窓の油断
見落とされやすい部分です。
「人が通れない」という思い込み——実際には、想像より小さな開口部から侵入されることがあります。
浴室・トイレの窓——人目につかない場所にあることが多く、対策が手薄になりがちです。
キッチンの小窓——換気のために開けたまま忘れることがあります。
対策——面格子の設置、補助錠の追加——小窓であっても、対策の対象です。
面格子の固定方法——外側からネジで外せる構造では、意味が薄れます。内側から固定するタイプが望ましいでしょう。
勝手口の防犯については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 勝手口は玄関より狙われる|見落とされやすい裏口の防犯
ガラスの種類も影響する
窓の形状と併せて確認したい点です。
フロートガラス——一般的な板ガラスです。簡単に割れます。
網入りガラス——ワイヤーが入っていますが、これは防火目的です。防犯性能は高くありません。むしろ、割れた際に破片が落ちにくいため、静かに穴を開けられる可能性もあります。
強化ガラス——衝撃に強い性質がありますが、一点に強い力が加わると全体が砕けます。防犯ガラスとは異なります。
防犯合わせガラス——2枚のガラスの間に樹脂膜を挟んだ構造です。割れても膜が残り、貫通しにくくなります。
CPマーク——防犯建物部品として認定された製品には、この表示があります。
優先順位をつける
すべての窓を対策するのは現実的ではありません。
1階の窓から——地面から直接アクセスできる場所です。
人目につかない面——道路から見えない窓は、リスクが高くなります。
大きな開口部——掃き出し窓は、侵入されれば即座に室内へ入られます。
ルーバー窓——形状自体に弱点があるため、優先度は高くなります。
足場のある窓——2階でも、室外機や物置から到達できる場所は対策が必要です。
使わない部屋の窓——確認が抜けやすい場所です。常時施錠という運用も検討してください。
確認してみる
実際の作業です。
家中の窓を数える——何箇所あるか、把握していますか。
形状を確認する——それぞれどのタイプか。
施錠の動作——正常に閉まるか。建て付けが悪くなっていないか。
補助錠の有無——付いている窓と、付いていない窓を確認します。
外から見る——どの窓が道路から見えるか、どこが死角か。
記録する——簡単な図でも作っておけば、対策の計画が立てやすくなります。
自宅の弱点を見つける方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 「防犯診断」って何をするの?プロが自宅を見るときにチェックしているポイント
まとめ
窓の形状によって、防犯上の弱点は異なります。
引き違い窓・掃き出し窓——最も一般的で、クレセント錠周辺のガラスを割られる手口への対策が必要です。補助錠と防犯フィルムが基本になります。
ルーバー窓——ガラス板を外される可能性があり、形状自体に弱点があります。面格子の設置など、優先的な対策を検討してください。
すべり出し窓・FIX窓——開口部が限られる、あるいは開かないため、比較的有利な形状です。
まずは、自宅にどんな窓があるかを確認してみてください。そして、1階、人目につかない面、大きな開口部——優先順位をつけて対策を進めることをおすすめします。
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