引っ越し先を決めるとき、家賃、間取り、駅からの距離——こうした条件は比較しやすいものです。
一方で、治安はどうでしょうか。数字で示されにくく、内見だけではわからない部分があります。
この記事では、地域の安全性を調べる方法を整理します。
公的な情報を使う
まず、客観的な情報源から確認しましょう。
犯罪発生マップ——多くの都道府県警察が、地域ごとの犯罪発生状況を地図上で公開しています。侵入窃盗、自転車盗、車上狙い、声かけ事案——種類別に確認できることもあります。
警察署のウェブサイト——管轄区域の犯罪情勢が掲載されていることがあります。
自治体の統計——市区町村が、地域の安全に関する情報をまとめている場合があります。
不審者情報のメール配信——自治体や警察が提供しています。引っ越し前でも登録できることがあり、地域の状況を把握する材料になります。
注意点——認知件数は届け出があったものです。実際の被害すべてを反映しているわけではありません。また、人口が多い地域ほど件数も増えます。件数だけで判断せず、傾向として見ることをおすすめします。
実際に歩いてみる
最も確実な方法です。
昼と夜、両方で——印象がまったく違います。昼間は賑やかでも、夜になると人通りが途絶える場所があります。
駅から物件まで——実際のルートを歩いてみてください。所要時間だけでなく、どんな道を通るかが重要です。
街灯の間隔——暗い区間がどれくらいあるか。
人通り——夜間、どの程度の人が歩いているか。
周囲の建物——空き家が多い、シャッターが下りた店舗が並ぶ——こうした環境は、人の目が少ないことを意味します。
複数の曜日で——平日と休日では、街の様子が変わることがあります。
帰宅路の安全については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 帰り道で身を守るために|尾行・待ち伏せへの気づき方と対処法
街の状態を観察する
環境から読み取れることがあります。
ゴミの散乱——管理されていない印象は、それ自体が犯罪を誘発するという考え方があります。
落書き——放置されている状態は、地域の目が届いていない可能性を示します。
放置自転車——管理の状況が現れます。
公園の様子——遊具の状態、清掃の頻度——地域の関心が見えます。
掲示物——「不審者にご注意」「防犯パトロール実施中」——こうした掲示があること自体は、地域が防犯に取り組んでいる証でもあります。
逆に読む——注意喚起の掲示が多い地域は、それだけ問題が起きているとも、対策が進んでいるとも解釈できます。判断は難しい部分です。
物件自体を確認する
建物の防犯性能です。
オートロックの有無——あれば安心材料ですが、共連れで突破されることは念頭に置いてください。
防犯カメラ——エントランス、駐輪場、ゴミ置き場——設置されているか確認します。
管理状態——共用部が清潔に保たれているか。管理体制の質を反映します。
郵便受け——施錠できるか、チラシが散乱していないか。
照明——エントランス、廊下、駐輪場——夜間の明るさを確認してください。
階数——1階や低層階は、地上からアクセスしやすくなります。
窓の位置——共用廊下に面した窓、隣接する建物からの視線——確認しておきましょう。
賃貸物件の防犯については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 賃貸・アパートでも防犯対策はできる|穴を開けずにできる方法と入居後すぐやるべきこと
不動産会社に聞く
情報を得る手段のひとつです。
告知事項の確認——過去に事件があった物件については、告知義務が生じる場合があります。
周辺環境について——聞けば答えてもらえることもあります。ただし、営業上の立場があることは念頭に置いてください。
入居者の層——どんな人が住んでいるか。単身者が多いか、ファミリー層か——雰囲気の参考になります。
トラブルの有無——過去に近隣トラブルがあったか。
質問してみる価値はある——答えにくい質問かもしれませんが、聞かなければ情報は得られません。
交番・警察署の位置
地理的な条件です。
近ければ安心か——一概には言えませんが、パトロールの頻度に影響する可能性はあります。
相談しやすさ——何かあったとき、すぐに行ける距離であることは利点です。
地図で確認する——物件からの距離を調べておきましょう。
移転・統廃合——交番が減少している地域もあります。最新の情報を確認してください。
実際に住んでいる人の声
得られれば貴重な情報です。
近隣の店舗——コンビニ、飲食店——長く営業している店であれば、地域の様子を知っています。
地域の掲示板・SNS——住民が情報交換している場合があります。
知人がいれば——その地域に住む知人がいれば、率直な話を聞けるかもしれません。
ネット上の評判——参考にはなりますが、個人の主観が強く反映されます。極端な意見に引きずられないよう注意してください。
複数の情報源——一つの意見で判断せず、いくつかの視点を集めることをおすすめします。
情報の見分け方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 防犯の情報、どこまで信じていい?|ネットで調べるときの注意点
「治安が悪い」の意味
言葉の解釈についてです。
何が問題なのか——侵入窃盗が多いのか、自転車盗が多いのか、夜間の騒音が問題なのか——内容によって、自分にとっての影響は変わります。
自分の生活パターンとの関係——深夜に帰宅することが多いなら夜間の安全が重要ですし、日中家にいることが多いなら別の観点が必要です。
家族構成——子どもがいる、高齢者がいる——優先すべき条件が変わります。
相対的な判断——完全に安全な場所はありません。どの程度なら許容できるか、という判断になります。
対策で補える部分——物件の防犯性能は、入居後に補強できる部分もあります。
入居後にできること
決めた後の話です。
鍵の交換確認——管理会社が交換しているか。していなければ、相談する価値があります。
補助錠の設置——工事不要のタイプであれば、賃貸でも使えます。
カーテンの設置——優先度は高いと考えてください。室内が見える状態は避けたいところです。
近隣への挨拶——顔を知ってもらうことには意味があります。
地域の情報に登録する——不審者情報のメール配信など。
夜間に周囲を歩く——住み始めてから、改めて確認してみてください。
引っ越し時の対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 引っ越し時にやっておきたい防犯対策|新居で最初に確認すべきこと
過度に神経質にならない
バランスの話です。
完璧な場所はない——どの地域にも、何らかのリスクはあります。
統計だけで判断しない——件数が多くても、それが自分の生活圏で起きているとは限りません。
他の条件との兼ね合い——家賃、通勤時間、生活の利便性——治安だけで決めることはできません。
対策で補える——物件の防犯性能は、後から強化できる部分があります。
住んでみてわかること——実際に生活してみなければ、わからない面もあります。
まとめ
引っ越し先の治安を調べるには、警察の犯罪発生マップ、実際に歩いての確認、物件自体の防犯性能——これらを組み合わせるとよいでしょう。
なかでも、夜間に実際に歩いてみることが最も有効です。昼間の印象とはまったく違うことに気づくはずです。駅から物件までのルート、街灯の間隔、人通り——現場でしかわからない情報があります。
そして、統計の数字だけで判断しないことも大切です。件数は届け出のあったものであり、人口が多い地域ほど増えます。傾向として見る程度が適切でしょう。
完璧に安全な場所はありません。他の条件との兼ね合いで判断し、入居後に補える部分は補強する——この考え方が現実的です。
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