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防犯カメラの時刻がずれる時の対処法

2022.05.15(2025.06.15更新)/ カテゴリ:製品知識

防犯カメラやレコーダーの内部にはオシレーターと呼ばれる水晶を使用して時刻を計測していますが、時間とともに少しずつ時刻がずれていきます。録画映像の時刻が正確でないと、万が一のトラブルや事件が発生した際に「いつ起きたのか」が特定しにくくなり、証拠としての信頼性が下がってしまいます。この記事では、なぜ時刻がずれるのか、そしてずれを防ぐための具体的な対処法について詳しく解説します。

1. なぜ防犯カメラの時刻はずれるのか

防犯カメラやNVR・DVRなどのレコーダーには、時刻を計測するためのクロック回路が内蔵されています。このクロック回路には「水晶発振子(オシレーター)」と呼ばれる部品が使われており、水晶の振動を利用して時刻を刻んでいます。

しかし、この水晶発振子は製品ごとにわずかな精度のばらつきがあり、1日あたり数秒〜数十秒のペースでずれが蓄積されていきます。1ヶ月で数分、1年で数十分のずれになるケースも珍しくありません。

またずれが生じる主な要因としては以下が挙げられます。

温度変化の影響: 水晶発振子は温度によって振動周波数がわずかに変化します。屋外設置のカメラや温度差の大きい環境に設置されたレコーダーは、温度変化の影響でずれが起きやすくなります。

電源オフ・停電の影響: 停電や電源のオフ・オンによって内部時計がリセットされることがあります。内蔵バッテリー(ボタン電池)で時刻を保持する機器もありますが、そのバッテリーが消耗すると電源を切るたびに時刻がリセットされてしまいます。

基板の経年劣化: 長期間使用した機器は基板上の部品が劣化し、クロック精度が低下することがあります。使用年数が長いほどずれが大きくなる傾向があります。

2. 時刻がずれると何が困るのか

「多少時刻がずれていても映像が見られれば問題ないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、防犯カメラにとって正確な時刻記録は非常に重要です。

事件・トラブル発生時刻の特定が困難になる 万引き・不法侵入・車両事故などのトラブルが発生した際、警察や保険会社への映像提出では「何時何分の映像か」が重要な証拠になります。時刻がずれていると、目撃証言や他の証拠との照合が難しくなり、映像の証拠能力が低下してしまいます。

複数台カメラの映像同期が取れなくなる 複数台のカメラを設置しているシステムでは、各カメラの時刻が揃っていないと、「A地点からB地点へ移動した人物の動線を追う」といった複数カメラを使った映像解析ができなくなります。

録画映像の検索効率が下がる 「○月○日の午後3時頃の映像を確認したい」という場合、時刻がずれていると目的の映像を探すのに時間がかかります。大量の録画データの中から目的のシーンを素早く見つけるためにも、正確な時刻管理は欠かせません。

3. NTPを使用する

NTPとはネットワーク・タイム・プロトコル(Network Time Protocol)と呼ばれています。インターネットを経由して自動で時刻を補正する機能です。NTP対応の防犯カメラやレコーダーであれば、タイムサーバーのアドレスを入力することで、インターネット経由で定期的に時刻を自動補正することが可能です。

最もコストがかからず、設定も比較的簡単なため、インターネットに接続されている環境では最初に検討すべき対処法です。

代表的なNTPサーバーアドレス

time.windows.com Windowsパソコンで標準使用されているマイクロソフトのタイムサーバーです。世界中で広く利用されており、安定した応答が期待できます。

ntp.nict.jp 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が公開している日本の公式NTPサーバーです。日本標準時(JST)を提供しており、国内の防犯カメラシステムには最もおすすめのサーバーアドレスです。

pool.ntp.org 世界中のNTPサーバーをプールして提供する分散型サービスです。世界各地のサーバーに負荷分散されており、国際的に広く利用されています。

NTPの設定方法

設定手順はメーカーや機種によって異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。

  1. レコーダー(NVR/DVR)の設定画面を開く
  2. 「システム設定」または「日時設定」のメニューを探す
  3. 「NTP」または「時刻同期」の項目を有効にする
  4. NTPサーバーのアドレス(例:ntp.nict.jp)を入力する
  5. 同期間隔を設定する(1時間〜24時間ごとが一般的)
  6. 設定を保存して動作確認する

同期間隔は短いほど時刻精度が維持されますが、サーバーへのアクセスが増えるため、1〜6時間程度を目安に設定するのが適切です。

NTPを使う際の注意点

NTPによる時刻同期はインターネット接続が必要です。オフライン環境や、ファイアウォールでNTPポート(UDP 123番)がブロックされている環境では機能しません。また、ネットワーク障害が発生した場合は同期が止まるため、復旧後に手動での時刻確認を行うことをおすすめします。

4. GPSで時刻を補正する

GPSユニットを使った時刻補正の方法です。GPSユニットは周期的にGPS衛星と通信を行い時刻を補正します。インターネットが使用できない特殊な環境において使用されています。ユニットとGPS衛星が通信を行う必要があるため屋外での使用に限定されますが、時刻の補正が必要な現場において効果を発揮します。

GPSによる時刻補正の仕組み

GPS(全地球測位システム)衛星には非常に高精度な原子時計が搭載されており、GPS信号には時刻情報が含まれています。GPSユニットはこの信号を受信することで、インターネットに依存せず正確な協定世界時(UTC)を取得し、それを日本標準時(JST)に換算してシステムの時刻を補正します。

GPS時刻の精度は非常に高く、1マイクロ秒(0.000001秒)以下の誤差しかありません。そのため、放送局や通信インフラなど「極めて正確な時刻」が必要な用途でも採用されています。

GPSを活用するのに向いている環境

  • インターネット回線がない農地・山間部・建設現場での監視
  • SIMカメラと組み合わせたオフグリッドの防犯システム
  • 大規模施設での複数カメラの時刻統一管理

GPSの注意点

GPS信号は屋根や壁に遮られると受信できません。GPSアンテナは必ず屋外、または窓越しに空が見える場所に設置する必要があります。また、GPSユニットは対応機器が限られているため、ご使用のカメラやレコーダーが外部GPSユニットに対応しているかを事前に確認してください。

5. タイムサーバーを使用する

カシオやセイコーなどのメーカーが販売している高精度タイムサーバーを使用することも可能です。基本的には放送業界など、正確な時刻を必要とする現場において活用されていますが、防犯カメラシステムに応用して使うことができます。

高精度タイムサーバーとは

高精度タイムサーバーとは、GPS信号や電波時計(標準電波)を受信して正確な日本標準時を取得し、社内ネットワーク上のすべての機器へNTPプロトコルで時刻を配信する装置です。

インターネットに接続せず、外部のNTPサーバーに頼らなくても、社内ネットワーク内で正確な時刻を自己完結して管理できます。そのため以下のような環境に向いています。

  • インターネット接続が制限されているセキュリティの高いネットワーク環境
  • 多数の防犯カメラを一元管理している大規模施設
  • 放送・医療・金融など時刻精度に特別な要件がある施設

一般的な防犯カメラシステムへの適用

一般家庭や中小規模の店舗・事務所では、高精度タイムサーバーを導入するコストに見合わないケースがほとんどです。まずはNTPによる自動補正(前述)で十分な精度が得られます。一方、複数拠点・数十台規模のカメラを運用する法人や、時刻精度が特に重要な施設では、高精度タイムサーバーの導入を検討する価値があります。

6. 手動で時刻を合わせる場合の注意点

NTP・GPS・タイムサーバーのいずれも使えない環境では、定期的に手動で時刻を合わせることになります。手動調整の際に気をつけたいポイントを紹介します。

正確な時刻の参照先を使う

手動で時刻を合わせる際は、必ず信頼できる時刻情報を参照しましょう。スマートフォンや電波時計の表示、またはNICTが公開している「時刻情報提供サービス」(https://jjy.nict.go.jp/)を参考にすることをおすすめします。パソコンの時計は自身がNTP同期されている場合は正確ですが、古いパソコンや同期設定がオフになっている場合はずれていることがあります。

定期的な確認スケジュールを設ける

手動調整では一度合わせても徐々にずれが生じます。月に1回程度、映像と実際の時刻を比較して確認する習慣をつけましょう。特に停電や機器の再起動後は必ず時刻確認を行うことをおすすめします。

時刻変更前後の映像に注意

時刻を手動で変更すると、変更前後の映像の時刻が不連続になります(例:13時58分の映像の次が14時00分にジャンプするなど)。映像の証拠性が求められる状況では、こうした時刻の不連続が問題になる場合があるため、変更履歴を記録しておくことを推奨します。

7. 経年劣化と共に

防犯カメラやレコーダーを長く使えば使うほど、基板の経年劣化によって防犯カメラの時刻がずれやすくなっていきます。防犯カメラを何年か使用している場合は、時刻がずれていないか定期的に確認するようにしましょう。

内蔵バッテリー(RTC電池)の劣化

多くのレコーダーには、電源オフ時でも時刻を保持するためのリアルタイムクロック(RTC)用ボタン電池が内蔵されています。この電池は一般的に3〜5年程度で消耗し、消耗すると電源を切るたびに時刻がリセットされてしまいます。

「電源を入れるたびに時刻が2000年1月1日などの初期値に戻る」という症状が出た場合は、このRTC電池の消耗が原因である可能性が高いです。電池の交換は専門的な作業が必要な場合もありますので、メーカーや販売店へ相談することをおすすめします。

機器の交換タイミングの目安

防犯カメラやレコーダーの一般的な耐用年数は5〜8年程度と言われています。時刻のずれが頻繁に発生するようになったり、NTP設定を行っても補正が追いつかなくなってきた場合は、機器の経年劣化が進んでいるサインです。映像品質の低下や録画の不具合なども合わせて発生するようになったタイミングで、機器全体の見直し・交換を検討しましょう。

定期点検の重要性

防犯カメラは「設置して終わり」ではなく、定期的なメンテナンスが必要です。少なくとも以下の頻度での確認を推奨します。

  • 毎月: 映像が正常に映っているか・録画が継続されているか・時刻のずれ確認
  • 半年ごと: レンズの清掃・カメラの固定状態・ケーブルの状態確認
  • 1〜2年ごと: ファームウェアの更新・HDD(ハードディスク)の状態確認
  • 5年以上経過時: 機器全体の見直し・交換の検討

8. まとめ:時刻管理は防犯カメラ運用の基本

防犯カメラの時刻ずれは、放置すると録画映像の証拠能力を大きく損なうリスクがあります。対処法ごとの特徴をまとめると以下のようになります。

対処法コスト精度インターネットおすすめ環境
NTP自動同期ほぼ無料高い必要インターネット接続がある一般家庭・店舗
GPS補正機器代が必要非常に高い不要屋外・オフライン環境
高精度タイムサーバー高い非常に高い不要大規模施設・セキュリティ重視の法人
手動調整無料低い不要上記が使えない場合の最終手段

インターネット接続がある環境では、NTPサーバー(ntp.nict.jp)への自動同期設定が最もコストパフォーマンスが高く、手軽に正確な時刻を維持できるおすすめの方法です。

時刻管理を正しく行い、いざというときに信頼できる証拠映像として活用できる防犯カメラシステムを維持しましょう。設定方法や機器のメンテナンスについてご不明な点があれば、お気軽にワイズセキュリティへご相談ください。


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※本記事の情報は2025年6月時点のものです。

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