「うちの親に限って、だまされるはずがない」——そう思っている方はとても多いと思います。しかし現実は、詐欺の被害者の多くが「まさか自分が」と感じながら被害に遭っています。認知症や軽度の記憶力低下がなくても、巧みに作り込まれた手口の前では、判断力のある人でも被害に遭ってしまうのが特殊詐欺の怖さです。
警察庁の統計によれば、令和6年(2024年)の特殊詐欺の被害総額は717億円超と過去最悪を記録しました。認知件数は2万1,043件で、前年より2,000件以上増えています。そのうち65歳以上の高齢者が被害者に占める割合は約65%——件数にして1万3,738件が、高齢者への被害です。
この記事では、現在多発している詐欺・悪質商法の手口を具体的に整理し、家族として何ができるかを解説します。
今、急増している詐欺の手口を知っておこう
詐欺の手口は年々変化しており、「昔聞いた手口」だけを知っていても対応しきれません。令和6年に特に急増した手口を確認しておきましょう。
ニセ警察官詐欺(警察・官公庁をかたる手口)
令和6年に前年比4倍以上(4,261件)に急増したのが、警察官や検察官などをかたる手口です。「あなたの口座が犯罪に使われている」「携帯電話が不正契約された」などと電話してきて、「捜査に協力してほしい」「口座を保護する必要がある」などと称して現金やキャッシュカードを要求します。
本物らしく見せるために、警察手帳の画像をSNSで送ってきたり、「0110」で終わる電話番号(警察署の番号に見せかけた国際電話)を使ったりするケースも確認されています。実際の警察は、電話やSNSメッセージでキャッシュカードや現金を要求することはありません。
架空料金請求詐欺
「未払いの料金がある」「有料サービスを登録したまま解約していない」などといった内容のSMSやメール、パソコンのポップアップが突然届くタイプの詐欺です。令和6年の認知件数は5,716件にのぼります。「このまま放置すると法的措置をとる」「今すぐ電話してください」という文言で不安をあおり、電話させて個人情報や金銭を引き出します。
還付金詐欺
「医療費の払い戻しがある」「保険料の過払いがあるのでお知らせしました」などと電話してきて、ATMに誘導してお金を振り込ませる手口です。「ATMの操作中に電話で指示を受ける」という状況は、詐欺の典型パターンです。令和6年の認知件数は4,070件です。
SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺
SNSやマッチングアプリを通じて接触し、投資話や恋愛感情を利用して金銭をだまし取る手口です。令和6年の被害額はSNS型投資・ロマンス詐欺だけで1,271億円超と、特殊詐欺全体の被害をも上回る規模に達しています。高齢者だけでなく40〜60代にも被害が広がっており、特に注意が必要です。
引用元:https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02424/(nippon.com「2024年の特殊詐欺:全国で被害700億円超す」)
悪質訪問販売の手口
詐欺と並んで高齢者被害が多いのが、悪質な訪問販売です。電話や対面での接触を通じて、不要な商品を契約させたり、高額なリフォーム工事を行わせたりするケースが全国で発生しています。
「点検商法」「屋根・外壁詐欺」
「近くで工事をしていたら、お宅の屋根が傷んでいるのが見えた」「無料点検しますよ」などと訪問してきて、実際には問題のない箇所を「このままでは危険」と言って高額な工事契約を結ばせる手口です。工事の質が低い場合も多く、支払いだけさせて業者が姿を消すケースもあります。
「かたり商法」「点検員をかたる手口」
水道局や電力会社の点検員を装って自宅に上がり込み、「水道管に問題がある」「電気設備が古い」などと言って、その場で契約させる手口です。公共機関の点検員が突然訪問して有料契約を求めることは基本的にありません。
「訪問購入詐欺(押し買い)」
「不用品を買い取ります」と訪問してきて、貴金属や着物などを強引に安値で買い取っていく手口です。「一緒に見せてもらうだけ」という形で上がり込み、断りにくい状況を作って契約させるパターンが多く見られます。
いずれの手口にも共通するのは、「突然やってきて、その場で判断を迫る」というプレッシャーの使い方です。高齢者が断りにくい状況を作り出すことが、悪質業者の基本戦術です。
「だまされやすい状況」を作らないための対策
詐欺や悪質商法の被害を防ぐうえで、最も重要なのは「判断する前に立ち止まれる仕組み」を作ることです。
固定電話に録音機能付き機器を設置する
特殊詐欺の大半は電話から始まります。固定電話に「自動録音機能」や「警告メッセージ機能」のある機器を取り付けると、電話がつながった瞬間に「この通話は録音されます」などのメッセージが流れ、詐欺犯が電話を切るケースが多くあります。各自治体が高齢者向けに録音機器の無料貸し出しや購入補助を行っているケースもありますので、居住地の自治体に確認してみると良いでしょう。
国際電話の着信を止める
令和6年は国際電話番号を使った詐欺が急増しています。普段、海外からの電話を受ける機会がない方は、国際電話の着信を無料で一時停止できる「国際電話不取扱受付センター」への申し込みが有効です。固定電話・携帯電話いずれも対応しています。
「すぐに決めない」ルールを家族で共有する
電話や訪問で何かを求められたときの合言葉として、「子供に相談してから決める」「一度切ってかけ直す」というルールを事前に家族で決めておくことが有効です。詐欺犯は「今すぐ」「今日中に」という言葉で急かしてきます。その言葉が出た時点で詐欺の可能性が高いと判断できるよう、親に伝えておきましょう。
訪問者への対応ルールを決める
「知らない業者はドアを開ける前にインターホン越しに名前と用件を確認する」「ドアを開ける場合でもドアチェーンをかけたまま対応する」「一人のときは業者を室内に入れない」というルールを徹底することで、訪問商法のリスクを大きく下げることができます。
玄関にカメラ付きインターホンを設置しておくと、室内から来訪者の顔を確認できるため、対応の判断がしやすくなります。
家族としてできる日常的な関わり方
詐欺被害を防ぐうえで、家族の定期的な連絡が非常に大きな役割を果たします。
定期的に親に電話をかけることで、「最近こんな電話が来た」「業者が来た」という情報をその都度共有してもらえる関係を作っておくことが重要です。被害が起きてから発覚するのではなく、「おかしいな」と感じた段階で相談できる環境があるかどうかで、被害の未然防止率が大きく変わります。
また、「自分の銀行口座の残高を突然確認したくなった」「ATMに長時間いた」「急に現金を大量に引き出した」などの行動変化は、詐欺被害が進行中のサインである場合があります。金融機関も異常な引き出しに対して声がけをする取り組みを行っていますが、家族側でも変化に気づける体制を作っておくことが大切です。
防犯カメラが果たす役割
自宅への悪質業者の訪問対策として、防犯カメラも有効なツールです。玄関前にカメラが設置されていることで、悪質業者が「記録される」と認識して訪問を控える抑止効果が期待できます。
スマートフォン連携のネットワークカメラを設置しておけば、離れて暮らす家族が外出先から玄関前の映像をリアルタイムで確認したり、モーション検知で来訪者があったことを通知で受け取ったりすることができます。「知らない人が来ていた」「同じ業者が何度も来ている」などの状況を遠隔で把握できることは、高齢の親を見守るうえで大きな安心感につながります。
万が一トラブルが発生した際にも、玄関前の映像が記録として残っていれば、業者との交渉や警察への相談の際に有用な証拠となります。
引用元:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/sagi.html(警察庁「特殊詐欺の認知・検挙状況等について」)
被害に遭ってしまったときの相談窓口
万が一被害に遭った、または怪しいと感じた場合の相談先を把握しておくことも重要です。
**警察相談専用電話「#9110」**は、被害の相談や不審な電話・業者に関する情報提供ができる窓口です。24時間対応ではありませんが、「被害かどうかわからないけれど不安」という段階でも気軽に相談できます。
**消費者ホットライン「188(いやや!)」**は、契約トラブルや悪質商法の相談に対応しています。訪問販売でのトラブルや、クーリングオフの手続きについても相談できます。
地域の消費生活センターも、訪問販売・電話勧誘・詐欺に関するトラブルの相談に応じています。親自身が連絡できない状況でも、家族が代わりに相談することができます。
まとめ
高齢の親を詐欺・悪質商法から守るためには、「手口を知っておくこと」「家族間での連絡を続けること」「断りやすい環境を作っておくこと」の3つが基本になります。
「だまされない人」はいません。巧妙に作り込まれた手口は、判断力のある人でも迷わせるよう設計されています。「おかしいと思ったら家族に電話する」というただ一つの習慣が、被害を防ぐ最大の防波堤になります。
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