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防犯カメラの映像、どれくらい保存すべき?|自治体ガイドラインが定める期間と実務の考え方

補助金を使って防犯カメラを設置すると、多くの自治体で管理運用規程の作成が求められます。その規程に必ず盛り込むのが、映像の保存期間です。

「長く残しておいた方が安心では」と考える方もいるかもしれません。しかし実際には、多くの自治体のガイドラインが保存期間を短く設定するよう求めています

なぜでしょうか。そして、実務上はどのように考えればよいのでしょうか。この記事では、保存期間をめぐる論点を整理します。

なお、ガイドラインの内容は自治体によって異なります。実際の運用にあたっては、必ずお住まいの自治体の規定をご確認ください(本記事は2026年8月時点の情報です)。

自治体は「1か月以内」を求めることが多い

まず、実際の規定を見てみましょう。

鹿児島市の遵守事項では、「画像の保存期間は、原則として、1か月以内の必要最小限の期間とし、経過後は消去すること」と明記されています。

多くの自治体のガイドラインでも、同様に1か月程度を目安とする記載が見られます。

つまり、「必要最小限」であることが求められているということです。長ければ長いほどよいという発想ではありません。

引用元:https://www.city.kagoshima.lg.jp/anshin/bouhan-camera/bouhan-camera.html(鹿児島市「街頭防犯カメラ設置費に対する助成制度」)

なぜ長期保存が推奨されないのか

理由は、プライバシーの保護にあります。

街頭防犯カメラは、公共空間を通行する不特定多数の人を撮影します。そこには、犯罪とはまったく無関係な人々の日常が記録されています。

通勤の様子、買い物の行き帰り、誰と一緒に歩いていたか——こうした情報が長期間蓄積されれば、個人の行動を追跡できる状態が生まれます。

鹿児島市の案内では「防犯カメラの設置はプライバシーの侵害や監視社会への懸念もあることから、その設置及び運用に際しては、市民や団体などの権利利益を保護するため、慎重な対応が求められています」と説明されています。

必要な期間だけ保存し、それを過ぎたら消去する——この原則が、防犯とプライバシーのバランスを保つ仕組みになっています。

1か月で足りるのか

では、実務上1か月という期間で足りるのでしょうか。

**多くの場合は足ります。**空き巣、器物損壊、自転車盗——こうした被害は、通常は数日以内に気づきます。そこから警察に届け出て、周辺のカメラを調べるという流れになりますので、1か月分が残っていれば対応できるケースがほとんどです。

**間に合わないケースもあります。**長期不在中に被害に遭った場合、帰宅するまで気づきません。旅行や入院で1か月以上留守にしていれば、映像はすでに上書きされている可能性があります。

また、繰り返される嫌がらせのように、「いつから始まったか」を遡って確認したい場合も、短い保存期間では限界があります。

ただし、これは制度上の要件ですので、規程に定められた期間を守ることが前提になります。長期の記録が必要な特殊な事情がある場合は、自治体の担当課に相談してみるとよいでしょう。

「保存されていること」の方が重要

期間の長短を議論する前に、確認すべきことがあります。

そもそも録画が残っているかという点です。

設置から数年が経過したカメラで、次のような事態は実際に起こります。SDカードが劣化して書き込みができなくなっていた。ハードディスクが故障していた。設定が変わっていて録画されていなかった。電源トラブルで停止していた。

「1か月分保存する設定にしている」ことと、「実際に1か月分残っている」ことは別の問題です。

定期的に録画データを再生してみることが確実な確認方法です。ライブ映像が見えていても、過去の映像が呼び出せないケースがあります。年に一度でも、実際に再生して確かめる機会を設けておきましょう。

点検の具体的な方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 防犯カメラは「つけたら終わり」じゃない|設置後に必要なメンテナンスと点検の話

保存期間は録画方式で決まる

実際の保存日数は、機器の構成によって変わります。

SDカード録画の場合、カードの容量、解像度、フレームレート、録画方式(常時録画か動体検知録画か)によって決まります。高画質で常時録画すると、128GBのカードでも1〜2週間程度で一巡することがあります。

**NVR(録画機)**を使えば、大容量のハードディスクによって長期保存が可能になります。ただし、規程で1か月と定めているなら、それを超える設定にはできません。設定で上書き期間を調整する必要があります。

クラウド録画の場合は、契約プランによって保存期間が決まります。無料プランでは数日程度、有料プランで30日程度というのが一般的です。

規程で定めた期間と、実際の機器の設定が一致しているかを確認しておくことが大切です。「1か月保存する」と規程に書いていても、機器が2週間で上書きする設定になっていれば、規程どおりの運用ができていないことになります。

録画方式の選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → クラウド録画とローカル録画、どちらを選ぶべきか|違いと向き不向きを整理

必要な映像は個別に保存する

保存期間を延ばせないなら、必要な映像をどう確保すればよいのでしょうか。

事案が発生したら速やかに保全することが基本です。被害に気づいた時点で、その前後の映像を別のメディアに保存しておきます。上書きされる前に対応すれば、期間の制約は問題になりません。

警察への提供も早めに行いましょう。捜査に必要な映像があるなら、上書きされる前に提供する必要があります。

保全した映像の管理にも注意が必要です。個別に保存した映像も、いつまでも保持してよいわけではありません。目的を果たしたら消去する——という運用が求められます。

多くの自治体のガイドラインでは、こうした例外的な保存についても規定が設けられています。規程を作成する際に、この点も盛り込んでおくとよいでしょう。

第三者提供のルールも定める

保存期間と併せて考えるべきなのが、映像を誰に渡すかというルールです。

鹿児島市の遵守事項では、「第三者への画像提供は禁止とする。ただし、法令等に基づく照会や人の生命、身体又は財産の安全を守るため、緊急の必要がある場合等は提供できるものとする」とされています。

つまり、原則は提供禁止で、警察からの正式な照会などが例外という整理です。

実務でよくあるのが、住民からの直接の要望です。「自分の自転車が盗まれたので映像を見せてほしい」——こうした依頼は必ず出ます。

しかし、映像には無関係な第三者も映り込んでいます。それを個人に見せることは、プライバシー侵害にあたる可能性があります。警察を通じた対応を原則とするという方針を、規程に明記しておくことをおすすめします。

SNSへの投稿は絶対に避けるべきです。「こんな人が映っていた」という映像を公開することは、たとえ不審な人物であっても、肖像権やプライバシー権の侵害にあたる可能性があります。

規程に書いておきたいこと

管理運用規程を作成する際、保存期間に関して盛り込むべき事項を整理します。

通常の保存期間——「原則として1か月以内」といった形で明記します。

経過後の取り扱い——「期間経過後は速やかに消去する」ことを定めます。

例外的な保存——事案発生時に個別保存する場合の手続きと、その保存期間の上限を定めます。

消去の方法と確認——誰が、どのように消去を確認するかを定めておくと、運用が明確になります。

第三者提供の手続き——警察からの照会があった場合の対応、記録の残し方を定めます。

自治体によっては、管理運用規程の記載例が公開されています。鹿児島市でも記載例が用意されていますので、それを参考に自分たちの状況に合わせて作成するとよいでしょう。

まとめ

防犯カメラの映像は、「長く保存すればよい」というものではありません。多くの自治体のガイドラインが、1か月程度の必要最小限の期間を求めています。

これは、プライバシーの保護と防犯の実効性のバランスを取った設定です。無関係な人々の行動記録が長期間蓄積される状態は、望ましくないという考え方に基づいています。

そして、期間の長短以前に重要なのは、実際に録画が残っているかという点です。定期的に録画データを再生して確認する習慣が、いざというときの備えになります。

規程を作成する際は、通常の保存期間、例外的な保存、第三者提供の手続き——これらを明確に定めておくことをおすすめします。

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