防犯ブログ

商店街で防犯カメラを設置したい|補助金が使える自治体と、使えない場合の選択肢

商店街や通り会で防犯カメラの設置を検討するとき、まず確認したいのが補助金の対象になるかどうかです。

ここで注意が必要なのは、商店街の扱いが自治体によって大きく分かれるという点です。地域団体向けの補助制度で商店街も対象としている自治体がある一方、明確に除外している自治体もあります。

この記事では、商店街が対象になる自治体・ならない自治体の実例と、対象外だった場合の選択肢を整理します。

なお、制度の内容は年度によって変わりますので、実際の申請にあたっては必ずお住まいの自治体の公式情報をご確認ください(本記事は2026年8月時点の情報です)。

商店街が対象になる自治体

まず、対象に含まれる例を見てみましょう。

鹿児島市の街頭防犯カメラ設置費補助事業では、補助対象団体が「町内会、自治会等地域住民により組織された団体及び通り会、商店街振興会等商業又はサービス業を営むものにより組織された団体」と定義されています。商店街が明確に含まれています。

相模原市の防犯カメラ設置費補助制度でも、自治会や地域住民で組織された防犯活動団体に加えて、商店街等の地域団体が対象とされています。

大田区の助成制度では、自治会・町会に加えて商店街等の地域団体が対象です。ただし、助成割合が異なる設定になっており、商店街のみで構成される場合は12分の11、上限825万円とされています。

北九州市では、地域団体だけでなく、主要な鉄道駅周辺に設置する事業者も対象になります。

引用元:https://www.city.kagoshima.lg.jp/anshin/bouhan-camera/bouhan-camera.html(鹿児島市「街頭防犯カメラ設置費に対する助成制度」)

商店街が対象外の自治体

一方、除外している自治体もあります。

京都市の防犯カメラ設置促進補助事業では、対象が自治連合会や町内会などの地域団体とされ、商店街は対象外と明記されています。

仙台市の防犯カメラ設置等事業補助金でも、商店街振興組合等の商店街団体は除くとされています。

尼崎市では、対象となる地域団体について「自治会、婦人会、防犯グループなど」とされ、商店街組合や農会等は対象外と説明されています。

このように、扱いは完全に自治体判断です。「他の市では対象だった」という情報は、そのまま当てはめることができません。

なぜ扱いが分かれるのか

制度の目的の捉え方によって、判断が変わっていると考えられます。

地域住民の生活の安全を目的とする制度では、住民組織が主体になります。商店街は事業者の集まりであり、その営業を守るための設備は自己負担すべき——という整理です。

街全体の防犯環境を目的とする制度では、商店街も含まれます。商業エリアも地域の一部であり、そこを通行する人の安全は住民の安全と同じという考え方です。

どちらが正しいというものではなく、自治体の政策判断です。

なお、商店街が対象外の自治体でも、商業振興を目的とした別の制度で防犯カメラが対象になる場合があります。さいたま市では、商店会向けの施設整備補助において防犯カメラが対象とされており、補助率は2分の1から最大4分の3、補助金額の上限は最大2,000万円という規模です。

担当課が異なる可能性がありますので、防犯部門で対象外と言われたら、商工部門にも問い合わせてみる価値があります。

商店街ならではの設置の考え方

補助金の有無とは別に、商店街に防犯カメラを設置する際の考え方を整理しておきます。

万引き・器物損壊の抑止という直接的な効果が期待できます。カメラの存在を明示することで、犯行を思いとどまらせる効果があります。

トラブル発生時の記録としても機能します。客とのトラブル、迷惑行為、事故——こうした場面で映像記録があることは、事実確認の根拠になります。

来街者の安心感にもつながります。「防犯カメラ設置」の掲示は、安全に配慮した街という印象を与えます。

夜間・閉店後の防犯という観点も重要です。多くの店舗が閉まった後の商店街は、人通りが途絶えて死角が多くなります。侵入や器物損壊のリスクが高まる時間帯です。

店舗の防犯対策全般については、こちらの記事も参考になります。 → お店を守るために知っておきたい防犯対策|万引き・空き巣・不審者への備え方

設置場所をどう決めるか

商店街での設置は、住宅地とは異なる検討が必要です。

通りの出入口は優先度が高い場所です。商店街への進入路にカメラがあれば、外部から入ってくる人物の記録を残せます。

人通りが途切れる区間も検討対象です。商店街の端の方、シャッターが下りている区画が続く場所——こうしたエリアは死角になりやすくなります。

共同で使う設備の周辺も重要です。ゴミ置き場、共同駐車場、駐輪場——トラブルが起きやすい場所です。

アーケードがある場合は、設置の自由度が高くなります。天井部分に取り付けられるため、電源や配線の確保もしやすくなります。

一方で、注意点もあります。

照明条件が複雑です。看板の照明、店舗の窓明かり、街灯——強い光源が多い環境では、逆光で人物が黒く潰れることがあります。逆光補正機能を備えた製品を選ぶ、設置角度を工夫するといった対応が必要です。

閉店後の暗さも考慮すべきです。営業中は明るくても、シャッターが下りれば急に暗くなります。夜間撮影性能の確認は必須です。

設置角度と画質の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 防犯カメラを設置したのに「証拠にならなかった」——よくある理由と対策を解説

合意形成という課題

商店街での設置は、住宅地とは別の難しさがあります。

店舗の入れ替わりがあるため、合意が継続するとは限りません。設置に賛成した店舗が閉店し、新しい店舗が入ったとき、その方が「聞いていない」と感じる可能性があります。

費用負担の配分も論点になります。組合費から支出するのか、受益の大きい店舗が多く負担するのか——事前に整理しておかないと、後々のトラブルになります。

撮影範囲への懸念も出ます。「うちの店の入口が映るのは困る」という声が上がることもあるでしょう。プライバシーマスク機能で特定部分を隠す、角度を調整する——こうした対応が可能であることを説明できると、議論が前に進みやすくなります。

管理体制の継続も課題です。組合の役員は交代しますので、個人に依存しない仕組みを作っておく必要があります。管理責任者を役職で定めておくことをおすすめします。

近隣への説明の進め方については、こちらの記事も参考になります。 → 防犯カメラを設置する前に、ご近所へ何を伝えるべきか|トラブルを避ける進め方

補助金が使えない場合の選択肢

商店街が補助対象外だった場合、いくつかの方法が考えられます。

商業振興の制度を探す——前述のとおり、商店街振興を目的とした制度で防犯カメラが対象になることがあります。

近隣の自治会と連携する——自治会が申請主体となり、商店街と協力して設置するという形であれば、制度が使える可能性があります。大田区では複数団体の連携設置に対して上限額が高く設定されています。

各店舗が個別に設置する——組合として一括で設置するのではなく、各店舗が自店の入口にカメラを設置するという方法です。連続して設置されれば、結果的に通り全体がカバーされます。

段階的に整備する——一度にすべてを揃えるのではなく、優先度の高い場所から順次設置していく方法です。

補助金が使えない場合の選択肢については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 防犯カメラの補助金が使えないとき、どうする?|自治会が取れる5つの選択肢

まとめ

商店街が防犯カメラの補助対象になるかどうかは、自治体によって完全に分かれます。鹿児島市、相模原市、大田区のように対象に含める自治体もあれば、京都市、仙台市、尼崎市のように除外する自治体もあります。

まずは、お住まいの自治体の制度を確認してください。そして、防犯部門で対象外と言われた場合は、商業振興の部門にも問い合わせてみることをおすすめします。

補助金が使えない場合でも、自治会との連携、各店舗での個別設置、段階的な整備——といった方法があります。

そして、商店街特有の照明条件や合意形成の課題を踏まえた計画を立てることが、実効性のある設置につながります。

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