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補助金の「仕様要件」はどう読む?|38万画素以上・録画2週間といった基準の意味

防犯カメラの補助金の要綱を読んでいると、機器の仕様について細かい数値が示されていることがあります。

「有効画素数38万画素以上」「録画時間概ね2週間程度」「毎秒4コマ以上」「720×480画素以上」——こうした数値を見て、何を意味するのかわからないという方も多いでしょう。

この記事では、こうした仕様要件の読み方と、実際の機器選定にどう反映すべきかを整理します。なお、要件は自治体によって異なりますので、実際の選定にあたっては必ずお住まいの自治体の要綱をご確認ください(本記事は2026年8月時点の情報です)。

実際に定められている要件の例

まず、具体例を見てみましょう。宇都宮市の補助対象機器には、次の仕様が定められています。

撮影機能として、有効画素数38万画素以上、24時間稼働で夜間も人物等が特定できること。

録画機能として、録画時間が概ね2週間程度、録画速度が毎秒4コマ以上、記録画像サイズが720×480画素以上、記録媒体はメモリーカードまたはハードディスクを備え、USBメモリー等の外部記録媒体に画像が複写できること。

広島市でも、有効画素数や録画可能時間等について一定の要件を満たす必要があるとされています。

引用元:https://www.city.utsunomiya.lg.jp/kurashi/anshin/bouhan/1003455.html(宇都宮市「防犯カメラに係る補助制度」)

38万画素とはどの程度か

まず気になるのが、画素数の水準でしょう。

38万画素は、現在の基準では低い部類に入ります。かつてのアナログカメラの標準的な解像度であり、いわゆるSD画質に相当します。

現在市販されている防犯カメラの多くは、200万画素(フルHD)以上です。500万画素、800万画素(4K)といったモデルも一般的になっています。

つまり、この要件は最低限の基準であり、通常の製品を選べば自然に満たすことになります。「38万画素以上」と書かれているからといって、38万画素の製品を探す必要はありません。

なぜこのような水準が設定されているのか。制度が長く続いている自治体では、要綱が過去に作られたまま運用されている可能性があります。また、極端に低性能な機器を排除するための下限として機能しているとも考えられます。

実用性から考えると

要件を満たすことと、実際に役立つ映像が撮れることは別の話です。

人物の顔を識別するには、200万画素(フルHD)以上が推奨されます。この解像度があれば、数メートル以内の人物の顔を十分識別できます。

車のナンバープレートを読み取る場合は、距離と画角によってはより高い解像度が必要になります。

広い範囲をカバーする場合も、解像度が高いほど有利です。同じ画角でも、画素数が多ければ細部が残ります。

38万画素のカメラで撮影された映像は、人が映っていることはわかっても、それが誰かを識別することは難しいでしょう。「証拠にならなかった」という事態を避けるためには、要件を上回る性能を選ぶことが実務的です。

設置角度と画質の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 防犯カメラを設置したのに「証拠にならなかった」——よくある理由と対策を解説

「毎秒4コマ以上」の意味

録画速度の要件も、理解しておく価値があります。

フレームレートと呼ばれる数値で、1秒間に何枚の画像を記録するかを示します。毎秒4コマとは、1秒間に4枚ということです。

テレビや動画は毎秒30コマ程度が一般的です。それと比べると、毎秒4コマの映像はカクカクした動きになります。

ただし、防犯カメラでは低いフレームレートで運用することも珍しくありません。理由は保存容量です。フレームレートが高いほどデータ量が増え、同じ容量で保存できる期間が短くなります。

用途によって適切な値が変わります。人の出入りを記録するだけなら、毎秒4コマでも十分な場合があります。一方、素早い動きを捉えたい場合は、より高いフレームレートが必要です。

現在の製品は毎秒15コマ〜30コマに対応しているものが主流です。設定で調整できますので、保存期間とのバランスで決めることになります。

「録画時間概ね2週間程度」をどう考えるか

保存期間の要件も定められています。

2週間という設定は、実務的には最低限といえるでしょう。

被害に気づくまでの時間を考えてみてください。空き巣や器物損壊であれば、通常は数日以内に気づきます。そこから警察に届け出て、周辺のカメラを調べるという流れになります。この場合、2週間分が残っていれば対応できるでしょう。

しかし、長期不在中の被害では間に合わない可能性があります。旅行や入院で2週間以上留守にしていれば、帰宅した時点で映像は上書きされています。

また、繰り返される嫌がらせのように「いつから始まったか」を遡って確認したい場合も、2週間では限界があります。

多くの自治体のガイドラインでは、プライバシーの観点から1か月程度を上限とする例が見られます。要件の下限と、ガイドラインの上限——この間で設定することになります。

保存期間の考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 防犯カメラの映像、どれくらい保存すべき?|自治体ガイドラインが定める期間と実務の考え方

「外部記録媒体に複写できること」は重要

見落とされがちですが、実務上とても重要なのがこの要件です。

USBメモリー等の外部記録媒体に画像が複写できること——これは、警察への提供や証拠保全に直結します。

映像が記録されていても、それを取り出せなければ意味がありません。警察から照会があったとき、「見ることはできるが、データを渡せない」という状態では、捜査に協力できません。

製品によって対応が分かれる可能性があります。特に、クラウド録画のみのサービスや、独自形式でしか出力できない機器では注意が必要です。

購入前に、録画データをどう取り出せるかを確認しておきましょう。USBメモリーへの書き出し、パソコンへのダウンロード、汎用的な動画形式での出力——こうした機能があるかがポイントです。

映像提供については、こちらの記事も参考になります。 → あなたの家のカメラが事件を解決するかもしれない|リレー捜査と地域防犯の話

「夜間も人物等が特定できること」の確認

数値ではない要件もあります。

24時間稼働で夜間も人物等が特定できること——これは、実際の映像を確認しなければ判断できません。

カタログに「暗視対応」と書かれていても、実際の見え方には大きな差があります。赤外線LEDの照射距離が10メートルの製品と30メートルの製品では、撮影できる範囲がまったく異なります。

設置場所の広さに対して照射距離が足りているかを確認してください。20メートル先を映したいのに照射距離が10メートルでは、遠くは真っ暗なままです。

夜間映像のサンプルを見せてもらうことが最も確実です。業者に依頼すれば、同型機の夜間映像を確認できる場合があります。

夜間撮影の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 夜間撮影に強い防犯カメラの選び方|暗視機能の種類と使い分け

業者に要件を伝える

見積もりを依頼する際、補助金の仕様要件を業者に伝えることが重要です。

要綱のコピーを渡すか、該当箇所を抜粋して伝えれば確実です。慣れている業者であれば、要件を満たす製品を提案してくれます。

カタログや仕様書の提出が求められる自治体も多くあります。宇都宮市でも、防犯カメラ等設置計画書の様式が公開されており、機器の仕様を記載する欄があると考えられます。

業者から提出された資料で、要件を満たしているかを自分たちでも確認しておきましょう。「業者が大丈夫と言ったから」では、後で問題が生じたときに困ります。

見積書の取り方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 補助金申請の見積書、どう取ればいい?|比較できる見積もりを揃えるコツ

要件を上回る性能を選ぶ

最後に、基本的な考え方を整理しておきます。

仕様要件は最低ラインであり、目標ではありません。要件ぎりぎりの製品を選ぶ必要はまったくありません。

実用性から逆算して選ぶことが本来の順序です。何を、どこから、どの距離で撮りたいのか。それに必要な性能を検討し、結果として要件も満たしている——という形が理想的です。

予算とのバランスは当然あります。ただし、極端に安価な製品では、耐久性やサポート体制に不安が残ります。5年以上の継続設置が求められる制度も多いことを考えると、長く使える製品を選ぶ方が結果的に経済的です。

まとめ

補助金の要綱に記載された仕様要件は、多くの場合最低限の基準です。現在市販されている製品を選べば、自然に満たすことがほとんどでしょう。

ただし、「外部記録媒体に複写できること」のように、製品によって対応が分かれる要件もあります。購入前の確認が欠かせません。

そして、要件を満たすことと実際に役立つ映像が撮れることは別の話です。人物の顔を識別したいなら200万画素以上、夜間も記録したいなら照射距離の確認——実用性から逆算した選定をおすすめします。

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