リフォーム、エアコンの設置、給湯器の交換、シロアリ点検、ハウスクリーニング——生活していれば、他人を自宅に招き入れる機会はあります。
多くの場合、何の問題も起こりません。しかし、普段は入れない場所に他人が立ち入るという状況は、いくつかのリスクを含んでいます。
この記事では、工事や作業で人を家に入れる際の注意点を整理します。相手を疑うためではなく、双方にとってトラブルを避けるための備えとして考えてみてください。
どんなリスクがあるのか
まず、実際に起こり得ることを確認しておきましょう。
間取りや設備を把握される——どの部屋に何があるか、鍵の種類、窓の位置、貴重品の保管場所——作業のために家中を見て回る機会があります。
紛失・盗難のトラブル——物がなくなったとき、作業員が疑われることがあります。実際に持ち去られた場合もあれば、もともと別の場所にあった場合もあります。いずれにせよ、証明が難しい状況が生まれます。
破損のトラブル——作業中に家財が傷ついたとき、いつ、誰が、どのように——という事実確認が必要になります。
鍵を預ける場合——不在時に作業してもらう場合、鍵を渡すことになります。管理の方法が問題になります。
下請け・応援の作業員——契約した会社の社員だけでなく、下請けや日雇いの作業員が入ることもあります。事前に把握できないケースもあります。
業者を選ぶ段階での確認
トラブルを避けるには、依頼先の選定から始まります。
会社の実体を確認する——所在地、電話番号、代表者名——ウェブサイトや名刺で確認できます。固定電話がなく携帯番号のみ、住所が不明瞭——といった場合は注意が必要です。
訪問販売で契約しない——「近くで工事をしていて」「無料点検します」と訪問してきた業者と、その場で契約することは避けてください。悪質な点検商法の典型的な入り口です。
複数社から見積もりを取る——金額の妥当性を判断できるだけでなく、対応の質も比較できます。
作業員の情報を確認する——何人が来るか、社員か下請けか。事前に聞いておくと、当日の確認がしやすくなります。
身分証の提示——訪問時に社員証や作業証を提示してもらうことは、正当な業者であれば問題なく応じてくれるはずです。
訪問販売への対応については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 訪問販売・点検商法の断り方|玄関先で身を守るための対応マニュアル
作業前にやっておくこと
当日を迎える前の準備です。
貴重品を移動する——現金、通帳、印鑑、貴金属——作業範囲から離れた場所、あるいは施錠できる場所に移しておきます。持ち出せるものは持ち出しておくとより確実です。
個人情報を片付ける——書類、郵便物、パソコンの画面——机の上に置きっぱなしにしない方が安心です。
立ち入る範囲を明確にする——作業に必要な部屋はどこか。それ以外の部屋には入らないという前提を共有しておきます。ドアを閉めておくだけでも意思表示になります。
現状を記録する——作業範囲の写真を撮っておくと、破損トラブルの際に比較材料になります。
トイレの案内——長時間の作業では、トイレを使うことがあります。どこを使ってもらうか決めておくと、案内がスムーズです。
立ち会いについて
作業中、家にいるべきかどうか。
基本は立ち会う——可能であれば、誰かが在宅していることが望ましいでしょう。作業内容の確認もできますし、質問にも答えられます。
張り付く必要はない——常に横で見ている必要はありません。作業の邪魔になりますし、相手も居心地が悪くなります。同じ建物内にいるという程度で十分です。
一人での立ち会いに不安がある場合——特に女性の一人暮らしなど、不安を感じる状況では、家族や友人に同席してもらうという選択もあります。
やむを得ず不在にする場合——後述する鍵の扱いについて、慎重に検討する必要があります。
鍵を預ける場合
不在時の作業を依頼する場合の注意点です。
業者の管理体制を確認する——鍵をどこに保管するか、誰が管理するか。信頼できる会社であれば、明確な手順が定められているはずです。
書面で記録する——いつ渡し、いつ返却されたか。記録を残しておくことをおすすめします。
作業後の鍵交換を検討する——長期の工事で多くの人が出入りした場合、完了後にシリンダーを交換するという選択もあります。費用はかかりますが、確実です。
キーボックスを使う場合——設置場所と暗証番号の管理に注意してください。玄関脇の目立つ場所では、そこに鍵があることが外部にわかります。
近隣に伝えておく——「今日は業者が入ります」と伝えておけば、不審者との区別がつきます。
カメラを使う場合の考え方
防犯カメラを設置している場合の扱いです。
玄関のカメラ——誰がいつ来たか、何時に帰ったかの記録が残ります。作業日誌との照合もできます。
室内カメラの是非——ここは慎重に考えるべき点です。作業員を撮影することは、相手のプライバシーに関わります。
告知することが前提——設置している場合、その旨を事前に伝えるべきでしょう。「防犯カメラを設置しています」と一言添えるだけで、隠し撮りではないことが伝わります。
信頼関係への影響——「監視されている」と感じさせれば、作業の質にも影響しかねません。カメラで管理するより、立ち会う方が健全な場合もあります。
トラブル時の記録として——万が一の際に事実確認ができるという価値はあります。ただし、それが目的化しないよう注意が必要です。
作業後の確認
完了時にやっておきたいことです。
作業内容の確認——依頼した内容が実施されているか。可能であれば、実際に動作を確認します。
部屋の状態を確認する——破損や汚れがないか。その場で確認する方が、後から言うより解決しやすくなります。
貴重品の確認——移動したものを元に戻す際、紛失がないか確認します。
鍵の返却——預けていた場合、確実に受け取ります。
書類の受け取り——保証書、作業報告書、領収書——後々必要になる書類を揃えておきます。
入られた部屋の施錠確認——窓を開けて作業した場合、閉め忘れがないか確認してください。
万が一のトラブル時
問題が生じた場合の対応です。
まず業者に連絡する——多くの場合、会社が対応します。作業員個人と直接やり取りするより、会社を通す方が確実です。
記録を残す——いつ、何が、どのような状態か。写真があればより明確です。
保険の確認——業者が加入している賠償責任保険で対応できる場合があります。
消費生活センター——契約や請求に関するトラブルであれば、消費者ホットライン「188」に相談できます。
警察への相談——盗難が疑われる場合は、被害届の提出を検討します。ただし、確証がない段階で個人を名指しすることは避けるべきです。
リフォーム時の防犯強化
大規模な工事を行う場合、防犯設備の見直しを組み込む機会にもなります。
配線を通しておく——壁を開ける工事であれば、カメラ用の配線や屋外コンセントを追加できます。後から工事するより大幅に安く済みます。
窓・ドアの交換——防犯性能の高い製品に変更する機会です。
鍵の更新——古いシリンダーをディンプルキーに交換します。
工事期間中の防犯——資材や工具が置かれ、施錠が甘くなりがちな時期です。業者に施錠管理の徹底を依頼しておきましょう。
新築・リフォーム時の防犯については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 家を建てるときに考えておきたい防犯|設計段階でしかできないこと
まとめ
工事や作業で他人を家に入れることは、生活していれば避けられません。そして多くの場合、何の問題も起こりません。
ただ、貴重品を移動しておく、立ち入る範囲を明確にする、現状を記録する——こうした準備は、双方にとって意味があります。疑わないための備えでもあるからです。
業者選びの段階では、訪問販売でその場で契約しないこと、複数社から見積もりを取ること——この2点を守るだけで、多くのトラブルは避けられます。
そして、リフォームなど大規模な工事は、防犯設備を見直す機会でもあります。配線を通しておくといった準備は、そのタイミングでしかできません。
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