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防犯カメラを設置する時の注意点と法律違反事例

防犯カメラを設置した後に、実は法律違反していた!なんてならないように、防犯カメラを設置することで何に気を付けなければいけないのか知っておいた方が安心です。

法律違反と言っても罰則があったりなかったりしますので、記事では踏み込んで解説いたします。

※ワイズセキュリティは法律の専門家ではありません。あくまでネット情報をまとめた記事になっておりますので、あらかじめご了承ください。

防犯カメラを設置する時の注意点と法律違反事例

プライバシーの侵害について

防犯カメラを設置する場合プライバシーの侵害に抵触していないか注意するようにしましょう。基本的に防犯目的で公共の場所を撮影するのはプライバシーの侵害にはあたりません。

隣の家の防犯カメラ映像が自宅の方を向いているとあまりいい気持ちにならないものです。プライバシーの侵害にならないとはいえ、近隣住民の私有地が画角に入らないようにしましょう。

プライバシーの侵害には肖像権の侵害も含まれます。概念の違いについては割愛させていただきますが、どちらも個人の権利を守るものです。

そして撮影した映像をSNSにアップするとプライバシーの侵害になりますのでご注意ください。

個人情報保護法について

防犯カメラを設置する際にもっとも注意すべき法律は個人情報保護法です。防犯カメラで撮影した映像や録画データは個人が特定できる映像である限り、個人情報の扱いになります。個人情報を扱う場合、事業者は個人情報を取得している旨を告知する義務があります。防犯カメラで撮影した映像を誰でも閲覧可能なインターネットに上げてしまうと個人情報保護法に違反してしまう可能性があります。

個人情報保護法に違反した場合、慰謝料請求されるケースがあるため注意が必要です。

個人情報を漏らされた被害者側には、法律で損害賠償請求が認められています。
民法709条『損害賠償請求・慰謝料請求(不法行為など)』に設定されている論拠に基づき、請求権を行使される可能性があるため、録画データを取り扱う際は注意が必要です。

もし防犯カメラ映像が流出してしまったりトラブルに巻き込まれた場合は、専門家に相談するようにしましょう。

顔認証付き防犯カメラは法律違反?

そこで気になるのが顔認証付き防犯カメラは個人情報保護法に違反するのかという問題です。顔認証付き防犯カメラは顔のデータをアルゴリズムでデータ化して、暗号化することで認証しています。撮影した顔データは暗号化されていても個人情報保護法に違反するのでしょうか?

個人情報保護法において「個人情報を取得した事業者は、利用目的を本人に通知しなければならない」ならないとあります。顔認証付き防犯カメラを使用する場合は顔認証データを取得していることを告知しなければなりません。

通知をしないと個人情報保護法に違反しますので通知を徹底するようにしてください。

体表面温度サーマルカメラも?

最近では建物の入り口に体表面温度をモニターするサーマルカメラがあります。サーマルカメラの種類によっては顔を検知して認識することで額の温度を測定する機能を持つサーマルカメラの場合は注意が必要です。サーマルカメラ内のメモリーによって顔データを一時的に保存しているサーマルカメラの場合、個人情報を収集していることを告知しなければならない場合もあります。

防犯カメラを設置する時の注意点

実際に防犯カメラを使用する時に注意するべき点について解説いたします。防犯カメラにはプライバシーに配慮した機能もついていますのでぜひ活用してください。

プライバシーマスク機能

防犯カメラにはプライバシーマスク機能がついています。プライバシーマスクとは任意のエリアを黒く塗り潰すことで特定のエリアの映像にマスクをかける機能です。マンションの通路に防犯カメラを設置した時に各部屋の中が見えないようにしたりします。プライバシーマスクはほとんどの防犯カメラについている機能なので、現場に合わせて使うようにしてください。

防犯カメラ設置中のステッカーを付ける

防犯目的で使用する場合、プライバシーの侵害に当たらないと解説させて頂きましたが防犯カメラ作動中のステッカーや看板を付けることで防犯目的でカメラを設置していることを周知できますので効果的です。さらにステッカーや看板を付けることで犯罪抑止効果を高めることもできます。

実際にあったプライバシー侵害の判決

建設現場防犯カメラ事例

マンション建設会社の日本建設は、名古屋市瑞穂区の建設予定地に防犯カメラを10台設置していました。それを不快に感じた近隣住民が建設会社2社に対して損害賠償を請求する裁判では住民一人あたり5万円の損害賠償が認められた裁判です。

名古屋地方裁判所の唐木浩之裁判長は、1台のカメラについては「住民への嫌がらせ的な意図の疑いがある」との判決を下しました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49458520V00C19A9000000
【参考】反対男性ら訴え一部認める 建設現場防犯カメラ巡り – 日本経済新聞

コンビニ防犯カメラ事例

今ではコンビニで防犯カメラが当たり前のように設置されていますが、2004年にとあるコンビニにおいて警察より情報提供を依頼されたコンビニオーナーが防犯カメラの映像を警察に提供したことがありました。その録画データをに映っていた原告がコンビニオーナーに対して肖像権とプライバシー権の侵害を理由に慰謝料の支払いを求めて提訴する事件がありました。これに対して名古屋地方裁判所は以下のような判決を下しています。

商店の経営者は、来店した客及び従業員等の生命、身体の安全を確保し、また、その財産を守るため、店内において一定の措置を採ることが許される。そして、通常、客にとって、どの商店を利用するかについて大幅な選択の余地があることに照らすと、商店の経営者は、当該商店の置かれた諸事情を勘案した上でどのような措置を採るかにつき広範な裁量権を有するものと認められる。

名古屋地方裁判所2004年7月16日判決

設置の際にはプライバシーに配慮するようにしましょう

防犯カメラを設置する目的はあくまで防犯目的が基本です。嫌がらせで設置することはないとは思いますが、受け取る側によっては嫌がらせと感じてしまう場合もありますので、十分に近隣の環境には注意して設置するようにしましょう。