「賃貸だから壁に穴を開けられない」「管理会社に怒られそう」——賃貸住まいの方から防犯対策の相談を受けると、こういった声がよく出てきます。確かに、持ち家と違って自由に手を加えられない制約はあります。でも実際には、賃貸でもできる防犯対策はたくさんあります。むしろ、賃貸住宅は持ち家より狙われやすいリスクがあることを知っておく必要があります。
警察庁の統計によれば、2024年の住宅への侵入窃盗は43,036件。そのうち3階建以下の共同住宅、つまりアパートや低層マンションへの侵入窃盗では「表出入口(玄関)の無締まり」が最多の侵入手口で、「窓からのガラス破り」が続きます。オートロックのない一般的なアパートは、玄関ドアさえ開けてしまえば廊下を自由に歩き回れるため、不審者が入り込みやすい構造になっています。
この記事では、賃貸住宅に住んでいる方が今日からできる防犯対策を、「工事不要でできること」を中心にまとめていきます。
賃貸住宅が狙われやすい理由を知っておこう
防犯対策を考えるうえで、まず「なぜ賃貸が狙われやすいか」を整理しておきましょう。
合鍵が誰の手にあるかわからないのが、賃貸住宅特有のリスクです。前の入居者が合鍵を返却していない可能性や、管理会社・大家さんが保管しているマスターキーがどう管理されているかは、入居者が把握できません。4階建以上の共同住宅での侵入手口で「合鍵による表出入口からの侵入」が多くみられるのも、このリスクを裏付けています。
入居者の入れ替わりが多いため、周囲の住人が「見慣れない人」に鈍感になりがちです。いつも違う人が出入りしていると、不審者が紛れ込んでも気づかれにくくなります。
防犯設備が最低限であることも多く、防犯カメラやオートロックがないアパートは少なくありません。管理会社や大家さんが設備投資をしていない建物では、入居者個人が自衛するしかない状況です。
生活パターンが読まれやすいという側面もあります。単身者が多い物件では、通勤・通学のスケジュールが規則的で留守の時間帯が予測されやすく、下見の際に不在時間を把握されるリスクがあります。
引用元:https://www.alsok.co.jp/person/recommend/071/(ALSOK「最新の統計データから読み解く、侵入窃盗の傾向と防犯対策」)
入居したらまず確認すること① 鍵の交換
引っ越し直後にまずやっておきたいのが、玄関の鍵交換です。
前の入居者が合鍵を全て返却しているとは限りません。管理会社や大家さんが鍵交換をしてから引き渡してくれる物件もありますが、費用節約のために交換していないケースも実際には存在します。入居前・入居時に「鍵は交換済みですか?」と確認し、交換されていない場合は費用負担の交渉をするか、自費でシリンダーを交換することを検討しましょう。
シリンダー交換は、鍵の専門業者に依頼すれば数千円〜1万円程度で対応してもらえるケースが多くあります。退去時には元のシリンダーに戻す必要があるため、元のシリンダーは保管しておくことが重要です。管理会社に事前に相談・報告しておくと、退去時のトラブルを防げます。
より防犯性の高い「ディンプルキー」タイプのシリンダーに交換すると、ピッキングに対する耐性が大幅に上がります。鍵交換と同時に検討してみる価値があります。
入居したらまず確認すること② 窓の錠前と1階・低層階リスク
玄関ドアと合わせて確認したいのが、窓の施錠状態です。特に1階・2階の部屋は地面から直接アクセスできるため、侵入のリスクが高くなります。
共同住宅での侵入口で多いのは「表出入口(玄関)」と「窓」で、この2か所で全体の大半を占めます。クレセント錠(窓の内側にあるレバー状の錠前)だけでは、ガラスを割って手を差し込めば数秒で解錠できてしまいます。
窓の補助錠は、後付けで取り付けられるタイプが豊富に販売されています。ネジ留め不要で挟み込む形式のものや、両面テープで固定するタイプもあり、賃貸でも利用できるものが多くあります。クレセント錠に加えて補助錠を1〜2か所追加するだけで、侵入に要する時間を大幅に増やすことができます。
侵入犯は解錠に5分以上かかると判断すると約7割が犯行を諦めるとされています。完璧な対策でなくても、「手間がかかる」と思わせることが目的です。
工事不要でできる防犯グッズの活用
賃貸でも使いやすい防犯グッズをいくつか紹介します。いずれも原状回復義務のある賃貸住宅でも導入しやすいものです。
**ドアチェーン・ドアガード(後付けタイプ)**は、賃貸でも取り付けできる製品が販売されています。在宅時の訪問者対応や、就寝中の忍び込み対策として有効です。
窓・サッシ用の補助錠は前述のとおり、ネジ不要タイプが多くあります。ベランダ側の掃き出し窓、浴室や脱衣所の小窓など、全ての窓に取り付けることが理想です。
防犯フィルムは窓ガラスに貼るだけで、ガラスを割られにくくする効果があります。クレセント錠の周囲だけでなく、窓ガラスの全面に貼ることが重要です。賃貸でも多くの場合は問題なく使用できますが、退去時に剥がす手間が必要です。
サムターンガードは、ドアの内側のサムターン(鍵のつまみ)に取り付けるカバーです。外側からガラスや郵便受けの隙間を通じて工具でサムターンを回す「サムターン回し」という手口への対策になります。両面テープで固定するタイプが多く、賃貸でも使用できます。
ドアスコープ(のぞき穴)への対策も忘れがちな盲点です。ドアスコープは内側からは外を確認できますが、外側から特殊な工具を使うと室内を覗ける場合があります。スコープカバーを取り付けておくと、この手口に対応できます。
防犯カメラは賃貸でも設置できる?
「賃貸だから防犯カメラは無理」と思っている方も多いですが、工事不要で設置できるカメラは実際にあります。
バッテリー式・ソーラー充電式のカメラは、電源工事が不要なため賃貸でも設置しやすいタイプです。マグネットや粘着テープ、突っ張りポールに固定するタイプなら、壁に穴を開けずに設置できます。
室内用のネットワークカメラを玄関向きの窓際に設置する方法もあります。外から見てカメラが置かれているとわかれば、不審者への抑止効果が期待できます。室内設置であれば管理会社への確認も不要です。
ただし、注意が必要なのは撮影範囲のプライバシーです。共用廊下や隣室の玄関が映り込む角度は避けるようにしましょう。カメラは自室の玄関ドア付近や、外から見える窓際に向けるのが基本です。
設置前に管理会社や大家さんに相談しておくと、退去時のトラブルを防げます。「外壁に固定する工事はしない」「原状回復する」という条件で了承が取れるケースも多くあります。
1階・低層階に住む場合の追加対策
1階・2階の部屋は侵入リスクが高いため、上層階の入居者より積極的な対策が求められます。
ベランダ・窓の見通しを良くすることが基本です。鉢植えや荷物がベランダに多く置かれていると死角が生まれ、不審者が隠れやすくなります。整理整頓を心がけることが防犯につながります。
センサーライトの活用も効果的です。人が近づくと点灯するセンサーライトは、夜間の不審者への抑止力になります。コンセント式やソーラー式のものなら工事不要で設置でき、ベランダや玄関前に置いておくだけで機能します。
就寝中の忍び込み対策として、窓の補助錠に加え、寝室の窓には振動検知型の警報器を取り付けておくと、ガラスを割られた際に大きな音で周囲に知らせることができます。音が出ること自体が、犯行を中断させる効果を持ちます。
生活習慣でできる対策
設備や道具に頼らず、日常の習慣で防犯リスクを下げることも大切です。
生活パターンを一定にしすぎない工夫も有効です。毎日同じ時間に外出・帰宅する習慣は、下見をした犯人に不在時間を把握されるリスクがあります。たとえ仕事のスケジュールは変えられなくても、帰宅ルートを変えたり、照明タイマーを使って在宅感を演出したりすることで対応できます。
表札・郵便受けの管理にも注意が必要です。フルネームや性別が一目でわかる表札は、単身女性の場合特に「一人暮らし」の判断材料にされる可能性があります。苗字のみ・イニシャルのみにするか、表札を出さないという選択肢もあります。郵便受けは郵便物がたまらないよう定期的に確認しましょう。
宅配ボックスのない物件での不在票対策として、再配達の手続きをスマートフォンから素早く行い、「長時間不在でこの部屋に人がいない」という情報が残り続けないようにすることも、小さいながら有効な習慣です。
まとめ
賃貸住宅でも、工夫次第で防犯対策はしっかり行えます。入居直後の鍵交換の確認・窓の補助錠・サムターンガード・防犯フィルムといった基本的な対策から始め、必要に応じてバッテリー式のカメラやセンサーライトを加えていくことで、段階的にセキュリティを高めることができます。
大切なのは「賃貸だから仕方ない」と諦めないことです。設備の制約がある分、一つひとつの習慣と選択が、住まいの安全を左右します。
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