補助金を使って防犯カメラを設置する場合、機種選定には二つの視点が必要になります。
ひとつは、補助金の要件を満たすこと。もうひとつは、実際に役立つ映像が撮れることです。この二つは重なる部分もありますが、必ずしも同じではありません。要件を満たしていても、設置してみたら肝心な場面が映らなかった——という事態は起こり得ます。
この記事では、補助金申請を前提とした機種選定について、確認すべきポイントを整理します。
なお、要件は自治体によって異なります。実際の選定にあたっては、必ずお住まいの自治体の募集要項をご確認ください(本記事は2026年8月時点の情報です)。
自治体が定める仕様要件を確認する
まず、補助金の要件として何が定められているかを確認します。
有効画素数について要件を設けている自治体があります。広島市では、有効画素数や録画可能時間等について一定の要件を満たす必要があるとされています。安価な製品を選んで要件を満たさなければ、補助を受けられません。
録画機能は、ほぼすべての自治体で求められます。仙台市では「常時撮影が可能で、録画機能があること」が明記されています。動体検知時のみ録画するタイプでは要件を満たさない可能性があるため、確認が必要です。
撮影対象についても要件があります。道路、公園等の公共空間を撮影することが前提であり、個人宅や特定の施設だけを映すためには使えません。
継続設置期間を定める自治体もあります。仙台市では5年間以上の継続設置が要件です。この場合、耐久性のある製品を選ぶ必要があります。
要件は募集要項に記載されています。見積もりを依頼する際は、業者にこの要件を伝え、対応可能な製品を提案してもらうとよいでしょう。
解像度をどう考える?
要件を満たすことは前提として、実用性の観点から解像度を考えてみます。
200万画素(フルHD)が現在の標準です。この解像度があれば、数メートル以内の人物の顔は十分識別できます。多くの自治体の要件も、この水準を想定していると考えられます。
400万画素以上になると、より広い範囲を捉えながら細部を残せます。1台で広い範囲をカバーしたい場合や、遠距離の対象を撮影する場合に有利です。
ただし、解像度が高ければよいというものではありません。データ量が増えるため、同じ容量で保存できる期間は短くなります。また、通信量も増えるため、ネットワーク環境によっては映像が不安定になることもあります。
重要なのは、設置場所と対象までの距離に見合った解像度を選ぶことです。玄関から3メートルの位置に設置するなら200万画素で十分ですが、20メートル先の交差点を映すなら、より高い解像度か、望遠側のレンズが必要になります。
夜間性能は必ず確認する
街頭防犯カメラにおいて、夜間の性能は極めて重要です。犯罪の多くは夜間に発生するからです。
赤外線暗視が最も一般的な方式です。カメラに内蔵された赤外線LEDで対象を照らし、白黒の映像として記録します。暗闇でも人物や動きをはっきり捉えられます。
確認すべきは照射距離です。10メートルの製品と30メートルの製品では、撮影できる範囲がまったく異なります。設置場所の広さに対して照射距離が足りなければ、遠くは真っ暗なままです。
フルカラー夜間撮影という選択肢もあります。白色LEDを照射することで、夜間もカラーの映像を記録できます。服の色や車の色といった情報が残る点は、証拠としての価値を高めます。
ただし、白色LEDの光は周囲から見えます。住宅街では、光が窓に入って近隣の迷惑になる可能性もあります。設置場所によっては、赤外線方式の方が適している場合もあるでしょう。
夜間撮影の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 夜間撮影に強い防犯カメラの選び方|暗視機能の種類と使い分け
屋外設置の耐久性をどう確保する?
街頭に設置する以上、屋外環境への耐性は必須です。
防水・防塵性能は、IP65以上、できればIP66以上が推奨されます。IPの後ろの2桁のうち、最初が防塵、次が防水の性能を示します。数字が大きいほど保護性能が高くなります。
「防滴」と表記されているだけの製品は、直接雨がかかる場所での使用を想定していない場合があります。カタログでIP規格の数値を確認する習慣をつけてください。
接続部の防水処理も重要です。カメラ本体が防水でも、ケーブルの接続部分から水が入れば故障します。防水ボックスの使用や、自己融着テープによる処理が必要です。施工業者に確認しておきましょう。
動作温度範囲も確認が必要です。特に寒冷地では、冬場の最低気温に耐えられるかが問題になります。逆に、直射日光が当たり続ける場所では高温側の限界も考慮すべきです。
積雪への対応は、地域によっては重要な検討事項です。レンズが雪で覆われれば映像は使えません。庇の下への設置や、雪が吹き付けにくい角度の工夫が必要になります。
IP規格の見方については、こちらの記事をご覧ください。 → 防犯カメラの防水防塵性能とは?IPレベルの見方を解説
録画方式と保存期間
映像をどこに、どれくらいの期間保存するかも重要な選択です。
SDカード録画は最も手軽ですが、容量に限りがあります。高画質で常時録画すると、数日から2週間程度で一巡することもあります。また、カメラごと壊されれば映像も失われます。
**NVR(録画機)**を使えば、大容量の長期保存が可能です。複数台のカメラを一元管理できる点も利点です。ただし、設置場所と電源が必要になり、レコーダー自体が狙われるリスクもあります。
クラウド録画は、機器が破壊されても映像が残るという強みがあります。ただし、月額費用が発生し、多くの自治体では維持管理費が補助対象外です。継続的な負担を年間予算に組み込む必要があります。
保存期間については、被害に気づくまでの時間を考慮してください。街頭防犯カメラの場合、事件が発生してから警察が周辺のカメラを調べ始めるまでに、数日から数週間かかることがあります。短すぎる保存期間では、依頼を受けた時点ですでに上書きされているという事態になります。
録画方式の選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → クラウド録画とローカル録画、どちらを選ぶべきか|違いと向き不向きを整理
電源と通信をどう確保する?
街頭設置では、電源と通信の確保が実務上の課題になります。
電柱に共架する場合は、電力会社との手続きが必要です。共架料が発生することもあります。
建物から電源を借りる場合は、所有者との合意が必要です。電気料金の負担についても事前に取り決めておくべきです。
ソーラー式という選択肢もあります。電源工事が不要なため、配線が難しい場所でも設置できます。ただし、日照条件によっては十分な発電量が得られないこともあり、冬場や梅雨時の稼働について確認が必要です。
通信手段については、Wi-Fi環境がない場所では、SIMカードを使った通信という方法があります。この場合、月々の通信費が発生します。
SIMカメラについては、こちらの記事で解説しています。 → SIMカードを使った遠隔監視とは、インターネットが要らない防犯カメラ
長期運用を見据えた選び方
補助金で設置したカメラは、その後何年も使い続けることになります。
保証期間とサポート体制を確認してください。故障時にどのような対応が受けられるのか、費用はどうなるのか。防犯カメラは24時間稼働する機器であり、故障のリスクは常にあります。
部品の供給についても考慮すべきです。数年後に故障した際、修理部品が入手できるか。極端に安価な製品や、聞いたことのないメーカーの製品では、この点が不安になります。
ファームウェアの更新が提供されるかも重要です。ネットワークカメラの場合、セキュリティ上の脆弱性が発見されることがあります。更新が提供されない製品は、不正アクセスのリスクを抱え続けることになります。
ネットワークカメラのセキュリティについては、こちらの記事をご覧ください。 → 防犯カメラを無力化するハッキング・ジャミング・なりすまし|脅威の実態と具体的な対策を解説
まとめ
補助金で防犯カメラを設置する場合、自治体が定める仕様要件を満たすことが前提になります。有効画素数、録画機能、継続設置期間——まずは募集要項を確認してください。
そのうえで、実用性の観点から選定を行います。設置場所に見合った解像度、十分な夜間性能、屋外環境への耐性、適切な保存期間——これらを踏まえた選択が、実際に役立つカメラにつながります。
そして、長期運用を見据えることも大切です。保証、サポート、部品供給、ファームウェア更新——価格だけでなく、こうした要素も含めて判断することをおすすめします。
ワイズセキュリティでは、防犯カメラのオンラインストアを開設しています。最新スペックの防犯カメラを順次ラインナップしており、全製品1年保証付きです。設置場所や用途に合ったカメラ選びについてのご相談も承っていますので、お気軽にどうぞ。
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