防犯カメラを設置するとき、忘れてはならないのが表示板です。
「防犯カメラ作動中」といった掲示は、ほぼすべての自治体の補助制度で設置が求められています。そして多くの場合、その費用も補助対象に含まれています。
単なる形式的な掲示物と思われるかもしれませんが、実は複数の重要な役割を担っています。この記事では、表示板の意味と作り方を整理します。
なお、求められる内容は自治体によって異なりますので、実際の作成にあたっては必ずお住まいの自治体の要綱・参考例をご確認ください(本記事は2026年8月時点の情報です)。
補助対象経費に含まれている
まず、費用面から確認しておきましょう。
大分市の制度では、補助対象経費として「防犯カメラを設置したことを証する表示板等の購入および設置に要する経費」が明記されています。
宇都宮市でも、「防犯カメラの設置を示す表示板等の設置」が対象経費に含まれています。
福岡市では「防犯カメラの設置を示す表示板等の設置に係る経費」、香川県では「カメラの設置を示すプレートの購入並びにこれらの設置に要する費用」が対象とされています。
浜松市でも「防犯カメラを設置していることが分かる表示の製作およびその設置に要する経費」が補助対象です。
つまり、表示板は設置して当然のものとして制度に組み込まれているということです。
引用元:https://www.city.oita.oita.jp/o248/bouhankamera.html(大分市「自治会等が防犯カメラを設置するための費用を補助します」)
表示板の3つの役割
なぜ表示板が必要とされるのか。その理由を整理します。
撮影されることを知らせる——これが最も基本的な役割です。公共空間を撮影する以上、そこを通行する人には撮影されていることを知る権利があります。多くの自治体のガイドラインで、設置の表示が求められているのはこのためです。
抑止効果を高める——カメラの存在を明示することで、犯行を思いとどまらせる効果が期待できます。福岡市の案内では「犯罪を行おうとする者に防犯カメラの存在を気づかせ、撮影されていることを認識させることで犯行を抑止させる効果」が説明されています。実際に「防犯カメラがあったから、その場所での犯行を思いとどまった」という犯人の証言もあるそうです。
設置主体を明らかにする——誰が設置したカメラかを示すことで、責任の所在が明確になります。撮影されている人にとっても、問い合わせ先がわかる状態になります。
記載すべき内容
表示板に何を書くべきか。一般的な項目を挙げておきます。
「防犯カメラ作動中」といった文言——撮影していることを端的に示します。
設置者の名称——「○○自治会」「○○町内会」など。宇佐市の例では「防犯カメラを設置している旨や設置者の名称を表示する看板等」が補助対象とされており、名称の記載が想定されています。
設置目的——「地域の安全のため」「犯罪防止のため」といった記載。
問い合わせ先——連絡先を記載する場合もあります。ただし、個人の電話番号を掲示することは避け、団体としての窓口を示す形が適切でしょう。
川口市では、完了報告の写真について「設置した町会・自治会名表示を含む」とされています。名称の表示が必須ということです。
参考例が公開されている自治体も
表示板のデザインについて、参考例を公開している自治体があります。
大分市では「配置図・表示板(参考例)」というエクセルファイルが公開されています。撮影範囲図の作成と表示板のデザインが、同じファイルにまとめられているようです。
鹿児島市でも「設置看板の作成例」が公開されています。
こうした参考例があれば、ゼロから考える必要がありません。自分たちの団体名を入れるだけで、要件を満たした表示板が作れます。
まずは、お住まいの自治体が参考例を公開していないか確認してみてください。
設置場所の考え方
表示板をどこに掲げるかも重要です。
カメラの撮影範囲に入る前に目に入る位置が理想的です。撮影された後で気づくのでは、事前告知の意味が薄れます。
地域への進入路に設置するという考え方もあります。「この先、防犯カメラ設置区域」といった形で、エリアの入口に掲示する方法です。
カメラ本体の近くも基本的な設置場所です。どのカメラについての表示かが明確になります。
視認性にも配慮が必要です。高すぎる位置、木の陰、他の掲示物に埋もれる場所——こうした位置では気づかれません。
夜間の視認性も考慮するとよいでしょう。反射材を使った表示板であれば、ライトが当たったときに目立ちます。
材質と耐久性
表示板は屋外に設置されます。当然、耐久性が求められます。
屋外用の素材を選ぶことが基本です。アルミ複合板、樹脂製の板、金属板——いずれも屋外での使用に耐えるものを選びます。紙をラミネートしただけのものでは、数か月で劣化します。
紫外線への耐性も考慮してください。安価な印刷では、日光に晒され続けることで色褪せます。数年で文字が読めなくなっては意味がありません。
取り付け方法も検討が必要です。電柱に取り付ける場合はバンド、壁面であればビス止め——設置場所に応じた方法を選びます。強風で外れないよう、確実に固定することが大切です。
サイズについては、遠くからでも読める大きさが望ましいでしょう。ただし、大きすぎると景観に影響しますので、周囲とのバランスも考慮してください。
設置後の管理も忘れずに
表示板も、設置して終わりではありません。
定期的な確認が必要です。色褪せていないか、取り付けが緩んでいないか、汚れで読めなくなっていないか——年に一度のカメラ点検と併せて確認するとよいでしょう。
カメラを撤去した場合は、表示板も外す必要があります。カメラがないのに「防犯カメラ作動中」と掲示し続けることは、実態と異なる表示になります。
設置者名の変更があった場合も更新が必要です。自治会の名称が変わった、統合した——こうした変化があれば、表示も改めるべきです。
点検の具体的な方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 防犯カメラは「つけたら終わり」じゃない|設置後に必要なメンテナンスと点検の話
個人宅の場合も同じ考え方
補助制度の話とは別に、個人宅でも表示は有効です。
抑止効果は同じように働きます。市販の「防犯カメラ作動中」ステッカーは安価で入手でき、玄関周りに貼るだけで一定の効果が期待できます。
近隣への配慮という意味もあります。カメラを設置していることを明示しておけば、隣家から「知らないうちに撮られていた」と感じられるリスクが下がります。
ただし、実態が伴わない掲示については注意が必要です。カメラがないのにステッカーだけ貼るという方法もありますが、注意深い犯人は実際の設置を確認します。効果は限定的と考えた方がよいでしょう。
ダミーカメラの効果については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → ダミーカメラの防犯効果は?バレない設置方法と本物との使い分けを解説
近隣説明でも活用できる
表示板は、設置前の説明でも役立ちます。
「こういう表示を掲げます」と示すことで、隠し撮りではないことが伝わります。防犯カメラへの不安の多くは、「知らないうちに撮られている」という感覚から生まれます。明示的な掲示があることは、その懸念に対する答えになります。
設置者名が入っていることも安心材料です。問題があれば誰に言えばよいかがわかる状態は、住民にとって重要です。
近隣への説明の進め方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 防犯カメラを設置する前に、ご近所へ何を伝えるべきか|トラブルを避ける進め方
まとめ
「防犯カメラ作動中」の表示板は、補助制度において設置が求められる要素であり、その費用も補助対象に含まれるのが一般的です。
役割は3つ——撮影されることを知らせること、抑止効果を高めること、設置主体を明らかにすること。いずれも、防犯カメラを適切に運用するために欠かせない要素です。
大分市や鹿児島市のように参考例を公開している自治体もありますので、まずは確認してみてください。
そして、屋外用の素材を選び、視認性の高い位置に設置し、定期的に状態を確認する——こうした管理も忘れずに行いましょう。
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