防犯ブログ

通学路の防犯カメラに使える補助制度|子どもの安全を地域で守るために

防犯カメラの補助制度には、地域全般を対象とするもののほかに、通学路に特化した制度を設けている自治体があります。

子どもの登下校時の安全は、地域にとって共通の関心事です。「あの道が暗くて心配」「見通しの悪い曲がり角がある」——保護者や自治会からそうした声が上がることは少なくありません。

この記事では、通学路への防犯カメラ設置について、活用できる制度の考え方と、設置にあたって検討すべき点を整理します。なお、制度の内容は自治体によって異なり、年度によっても変わります。実際の申請にあたっては、必ずお住まいの自治体の公式情報をご確認ください(本記事は2026年8月時点の情報です)。

通学路向けの制度はどんなもの?

自治体によっては、通学路に設置する防犯カメラを対象とした補助制度を実施しています。

たとえば、補助対象経費の3分の2を補助し、1台あたり20万円を限度とするといった設計が見られます。市内全体での補助台数を定めて実施される場合もあります。

一般の防犯カメラ補助制度と異なる点として、設置場所が通学路に限定されることが挙げられます。その分、申請にあたっては学校や教育委員会との連携が求められる場合もあります。

また、通学路の防犯カメラについては、教育委員会が主体となって設置を進める自治体もあります。この場合、地域団体が申請するのではなく、行政が直接設置する形になります。

なぜ通学路が対象になるのか

子どもへの声かけやつきまといといった事案は、登下校の時間帯に集中して発生する傾向があります。

千葉県警察が令和6年中の不審者情報を分析したところ、登下校時間帯の被害が全体の約7割を占めていたという結果が報告されています。7時台の登校時間帯と、14〜17時台の下校時間帯に集中するという傾向です。

また、小学生の被害の多くが自宅から比較的近い範囲で起きているという分析もあります。「家の近くだから安全」とは言えないということです。

こうした状況を踏まえ、通学路の安全確保を重点課題として位置づける自治体が増えています。防犯カメラの設置は、その施策のひとつです。

子どもの登下校の安全対策全般については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 子供の登下校を守るために親ができること|通学路の危険と防犯対策を整理しました

どこに設置すべきか

通学路といっても距離があります。限られた台数をどこに配置するかが重要になります。

人通りが途切れる場所は、優先度が高いといえます。駅前や商店街は賑やかでも、住宅街に入った途端に人がいなくなる——そうした境界地点は、犯行に適した条件が揃いやすい場所です。

見通しの悪い場所も検討対象です。高い塀が続く区間、曲がり角、樹木で視界が遮られる場所——こうした死角は、実際に歩いてみないと気づきにくいものです。

通学路が集約される地点は、効率的な設置場所です。複数の道が合流し、多くの子どもが通る場所であれば、1台でカバーできる範囲が広くなります。

過去に事案が発生した場所は、当然ながら優先されます。学校や教育委員会、警察が把握している情報を確認してみてください。

実際に歩いて確認する

設置場所を決める前に、実際に通学路を歩いてみることをおすすめします。

地図を見ただけではわからないことが、実際に歩くと見えてきます。塀の高さ、樹木の茂り方、街灯の間隔、車の交通量、人通りの実態——こうした要素は、現場でしか把握できません。

下校時刻に合わせて歩くことが特に有効です。子どもが実際に通る時間帯の状況を確認することで、より実態に即した判断ができます。

保護者に参加してもらうことも有効です。日頃から子どもの様子を見ている保護者は、「あの場所が心配」という具体的な感覚を持っています。PTAと自治会が連携して点検を行っている地域もあります。

**警察に同行してもらえる場合もあります。**通学路の安全点検について、警察署に相談してみる価値はあります。

カメラだけでは解決しない

通学路の安全対策を考えるとき、防犯カメラは有効な手段のひとつですが、それだけでは足りません。

街灯の整備は、より基本的な対策です。暗い場所をなくすことは、それ自体が犯罪抑止につながります。多くの自治体に防犯灯の補助制度があり、防犯カメラより制度が充実している場合もあります。

見通しの改善も重要です。伸びすぎた樹木の剪定、放置物の撤去——こうした環境整備は、費用をほとんどかけずにできます。私有地の樹木が問題になっている場合は、所有者への働きかけが必要になります。

見守り活動は、人の目による安全確保です。多くの地域で、保護者や地域住民が交代で通学路に立つ取り組みが行われています。通勤や買い物のついでに見守りを行う「ながら見守り」も広がっています。

こども110番の家の整備も有効です。緊急時に子どもが駆け込める場所が、通学路上に点在していることは大きな安心につながります。

子ども自身への教育も欠かせません。「イカのおすし」といった合言葉の徹底、防犯ブザーの携帯と使い方の練習——最終的に危険な場面で動けるのは子ども自身です。

防犯カメラが果たす役割

そのうえで、防犯カメラには固有の役割があります。

抑止効果が第一です。カメラが設置されていることを認識させることで、犯行を思いとどまらせる効果が期待できます。「防犯カメラ作動中」の掲示を目立つ場所に設けることで、この効果は高まります。

記録としての価値もあります。万が一事案が発生した場合、映像が捜査の手がかりになります。地域に点在するカメラの映像をつないで容疑者の足取りを追う「リレー捜査」という手法もあり、1台のカメラが解決の一片になることがあります。

保護者の安心感も無視できない要素です。「見守られている環境」があることは、子どもを送り出す保護者にとって心理的な支えになります。

地域のカメラが捜査に果たす役割については、こちらの記事でも触れています。 → あなたの家のカメラが事件を解決するかもしれない|リレー捜査と地域防犯の話

設置にあたっての配慮

通学路への設置では、特に配慮すべき点があります。

子どもが継続的に撮影されるということを意識する必要があります。撮影範囲や映像の管理について、保護者への説明が求められる場合もあるでしょう。

沿道の住宅への配慮も欠かせません。通学路は住宅街を通ることが多く、個人宅が撮影範囲に入りやすい環境です。角度の調整やプライバシーマスク機能の活用を検討してください。

映像の管理ルールは明確にしておくべきです。誰が閲覧できるのか、どのような手続きで確認するのか、保存期間はどれくらいか——これらを文書化し、関係者で共有しておきましょう。

近隣への説明の進め方については、こちらの記事も参考になります。 → 防犯カメラを設置する前に、ご近所へ何を伝えるべきか|トラブルを避ける進め方

制度を探すには

通学路向けの制度がない自治体でも、一般の防犯カメラ補助制度で通学路への設置が可能な場合があります。

自治体の公式ページを確認することがまず基本です。「〇〇市 防犯カメラ 補助金」で検索してみてください。

教育委員会に問い合わせるという方法もあります。通学路の安全対策は教育委員会の所管であることが多く、防犯部局とは別の情報を持っている場合があります。

学校を通じて相談することも有効です。PTAから学校へ、学校から教育委員会へ——という経路で、地域の要望が伝わることがあります。

通学路の合同点検という仕組みもあります。多くの自治体で、学校・教育委員会・道路管理者・警察が合同で通学路の安全点検を実施しています。この機会に危険箇所を挙げることで、対策につながる可能性があります。

まとめ

通学路への防犯カメラ設置は、子どもの安全を守る手段のひとつです。自治体によっては通学路に特化した補助制度もあり、一般の制度で対応できる場合もあります。

ただし、カメラだけで安全が確保されるわけではありません。街灯の整備、見通しの改善、見守り活動、子ども自身への教育——これらと組み合わせることで、はじめて実効性のある対策になります。

まずは実際に通学路を歩いてみることをおすすめします。どこが危険で、何が必要なのか。現場を見ることから、対策の優先順位が見えてきます。

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