侵入窃盗の多くは、事前の下見を経て行われるとされています。
つまり、犯行の前に誰かが自宅を観察している時間があるということです。そして、そのとき見られているものを知っていれば、対策の優先順位が見えてきます。
この記事では、下見で確認されると考えられる要素を整理します。相手の視点に立つことで、自宅の弱点が見えてくるはずです。
下見はいつ行われるか
まず、状況を確認しておきましょう。
昼間に行われることが多い——夜間に歩き回る方が不自然です。日中であれば、通行人として紛れることができます。
複数回訪れることもある——一度の観察で判断せず、時間帯を変えて確認するケースがあります。
自然な装いで——作業着、スーツ、宅配業者の格好——不審に見えない服装が選ばれます。
チラシ配布などを装う——ポスティングをしながら周辺を観察する、という方法もあります。
車での確認——車内から観察すれば、長時間滞在しても目立ちにくくなります。
つまり、下見の段階で気づくことは難しいというのが実情です。
在宅・不在の確認
最も基本的な観察対象です。
郵便受け——郵便物やチラシがたまっていれば、長期不在が推測されます。
洗濯物——何日も同じものが干されたままなら、留守の可能性があります。逆に、毎日変わっていれば在宅していることがわかります。
カーテンの状態——常に閉まったまま、あるいは開いたまま動かない——生活の様子が見えます。
夜間の照明——毎晩暗いままの家は、不在が続いていると判断されます。
車の有無——駐車場に車があるかどうかで、在宅を推測できます。
メーターの動き——電気やガスのメーターから、使用状況がわかることもあります。
長期不在時の対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 帰省・長期不在前に必ずやっておきたい防犯対策|空き巣に狙われない家づくり
侵入経路の確認
実行可能性を判断する材料です。
窓の位置と大きさ——どこに窓があるか、人が通れるサイズか。
道路から見えない面——建物のどちら側が死角になっているか。作業を隠せる場所を探します。
足場になるもの——エアコンの室外機、物置、フェンス、雨どい、カーポート——2階への経路があるか。
塀や生垣の高さ——乗り越えられるか、そして中に入れば姿を隠せるか。
門扉の状態——施錠されているか、簡単に開くか。
隣家との距離——狭い通路があれば、そこから裏手に回れます。
防犯設備の有無
「入りやすいか」を判断する要素です。
防犯カメラ——設置されているか、どこを向いているか。存在が明示されていれば、避ける判断につながります。
センサーライト——夜間に点灯する設備があるか。
補助錠の有無——玄関や窓に、鍵が複数付いているか。外からわかる場合もあります。
シャッター・雨戸——閉められているか。
防犯砂利——敷かれていれば、音が鳴ることがわかります。
警備会社のステッカー——契約の有無を示す表示です。
表示があることの意味——設備そのものより、「対策している家」という印象が抑止につながります。
表示板については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 「防犯カメラ作動中」の表示板は必須です|補助対象にもなる掲示の役割と作り方
住人の情報
誰が住んでいるかも、判断材料になります。
表札——氏名、家族の人数——情報が読み取れます。
洗濯物——性別、年齢層、家族構成が推測できます。
駐車場——車種、台数、チャイルドシートの有無——生活状況がわかります。
玄関周りの様子——子どもの自転車、介護用品、ペット用品——住んでいる人の情報が現れます。
ゴミ——出す量や内容から、生活パターンが推測できます。
ゴミ出しについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 → ゴミ出しから見えてしまうこと|捨て方で変わる防犯リスク
周辺環境
家そのもの以外の要素です。
人通り——時間帯によって、どの程度人が通るか。
街灯の位置——夜間の明るさ。
隣家との関係——隣が空き家であれば、目撃される可能性が下がります。
逃走経路——犯行後、どちらに逃げられるか。複数の経路があるか。
駐車できる場所——車で来る場合、停めておける場所があるか。
警察署や交番の距離——近ければ、リスクが高いと判断されます。
実際に自分で見てみる
対策を考えるうえで、最も有効な方法です。
外を一周する——自宅の周囲を、時間をかけて歩いてみてください。普段は玄関から出入りするだけで、建物の全面を見る機会は少ないものです。
道路から見上げる——どの窓が見えるか、どこが死角になっているか。
隣家との境界を確認する——狭い通路、フェンスの状態、越境した枝——普段は意識しない場所です。
足場を探す——「ここから登れそうだ」という場所がないか。実際に手をかけてみると、想像より簡単に登れることに気づくかもしれません。
夜間にも行う——昼と夜では、見え方がまったく違います。暗くなってから、もう一度歩いてみてください。
写真を撮る——記録として残しておけば、対策の検討や、業者への相談時に役立ちます。
自宅の弱点を見つける方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 「防犯診断」って何をするの?プロが自宅を見るときにチェックしているポイント
「入りにくい」と思わせる
対策の考え方です。
時間がかかると思わせる——補助錠、防犯フィルム——解錠や破壊に手間がかかる状態を作ります。
音が出ると思わせる——防犯砂利、警報器——気づかれるリスクを示します。
見られると思わせる——カメラ、センサーライト、見通しの良さ——人目がある環境です。
記録が残ると思わせる——カメラの存在を明示することです。
すべてを完璧にする必要はない——隣の家より対策されていれば、そちらが選ばれる可能性が高まります。冷たい言い方ですが、これが現実です。
見られても問題ない状態にする
情報を減らすという発想もあります。
表札の情報を最小限に——苗字のみ、あるいは出さないという選択。
洗濯物の干し方——外から見えにくい場所、あるいは室内干し。
郵便物をためない——毎日回収する習慣。
カーテンの活用——室内の様子が見えない状態にします。
SNSでの発信——不在情報や、自宅が特定できる写真を投稿しない。
SNSについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 → SNSの投稿から自宅がバレる|住所特定の手口と今すぐできる対策
不審な人物を見かけたら
下見らしき行動に気づいた場合です。
110番する——「不審な人がいる」という通報は、正当な行動です。何もなければそれで構いません。
近づかない——自分で確認しようとする必要はありません。
記録する——服装、特徴、時間、車があればナンバー——覚えられる範囲で構いません。
近隣に伝える——地域で情報を共有することで、警戒が高まります。
カメラの映像を確認する——設置していれば、記録が残っている可能性があります。
まとめ
下見の段階で見られているのは、在宅・不在の状況、侵入経路、防犯設備の有無、住人の情報、周辺環境——といった要素です。
これらを知ったうえで、自宅を外から眺めてみてください。道路から一周する、夜間にも確認する——それだけで、思わぬ弱点が見えてくることがあります。
そして、対策の目的は「入りにくい」と思わせることです。完璧を目指す必要はありません。時間がかかる、音が出る、見られる、記録が残る——こうした要素を積み重ねることで、候補から外れる可能性が高まります。
まずは、一度外を歩いてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
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